桜井日奈子に新境地 少女マンガ発の恋愛映画で魅せる
大東建託「いい部屋ネット」などのCMで明るいキャラクターを発揮して、親しみやすい魅力を持つ女優として人気を集める桜井日奈子。2018年は4月に公開された『ママレード・ボーイ』で吉沢亮とW主演、11月9日に公開される『ういらぶ。』でヒロイン役。共に少女漫画が原作の恋愛映画で、新境地を見せた1年となった。
「恋愛ものを演じたことはありませんでしたが、『ママレード・ボーイ』も『ういらぶ。』も、原作の漫画を参考にしながら役を作っていたので、難しくはなかったです。高校を卒業してからそれほど時間はたっていませんけど、制服を着ることができるのはワクワクしました。今しかできない作品だと思うので、うれしいです。
撮影現場では、みなさんとお話したいんだけど、何を話せばいいのかが分からなくて、まだまだ緊張します。何かを聞かれて、『はい、そうですね』と答えると、そこで話が終わってしまうという、会話キラーの部分があるんですよね(笑)。でも、『ういらぶ。』は年齢が近い共演者の方が多くて、萎縮せずに、気を張らないでいられました。のびのびできて、楽しいという思い出ばかりです」
生まれ育った岡山で撮影
『ういらぶ。』では、同じマンションで暮らす幼なじみの主人公・凛が自分のことを「大好きすぎる」ゆえにイジワルしてきたことから、ネガティブ思考になってしまったヒロイン・優羽役。しゃべるときにもつい髪の毛を両手で握りしめてしまう、ピュアな「こじらせ女子」を演じている。ふだんは明るく活発な桜井だが、「世間の人たちの間では、私のイメージは『ういらぶ。』で演じた優羽ちゃんに近いみたいですね」と話す。
「どこの現場に行っても、『意外とさばさばしてるんですね。もっとほわほわとした子なのかと思ってた』とスタッフの方に言われるんです。『ういらぶ。』の優羽ちゃんは、上京したての私が、こんな感じだったなって。見られることに慣れてなくて、前髪を長くして目を隠してしまう癖があったので、共感できました。
映画では、原作よりコメディ要素が増えてるかもしれません。変顔やブタ鼻も全力でやりました。完成した映画で自分を見たら、『ぶさいくだなあ』とちょっと冷や汗をかいちゃいました(笑)。コメディを演じるのは、楽しい。なんでもやれちゃうというか、振り切る自信はあるので。だけど、やりすぎて、すぐに後悔するという(笑)。
全編、岡山で撮影しました。私が生まれ育った場所なので、大好きな岡山で映画が撮影できるのは、うれしかったです。共演者の方からも『岡山の見どころは?』とか聞かれました。地元産のマスカットを差し入れしたら、すごく喜ばれましたし。映画を一日撮影していると、ふだんはあまり意識しない、朝焼けだったり、夕焼けの風景を見ることができるんですよね。私も、岡山の自然に癒やされてました」
運動神経には自信あり
デビュー当時の桜井がメディアに紹介されるときには「岡山の奇跡」のキャッチフレーズが必ずつきものだったが、16年に舞台『それいゆ』のヒロイン役で女優としての第一歩を踏み出し、同年に『そして、誰もいなくなった』で連ドラ初出演。着実に演技経験を重ねて、今ではその枕詞が不要となり、ヒロイン女優の1人へと成長、今年21歳になった。
「同世代の女優さんは小さい頃から演技をやってきた方が多いですけど、私は始めたのが遅かったので、早くそこに追いつけるようになりたいという感覚でした。でも、最近は、同世代の女優さんが活躍している作品を見ると、ぞわぞわしたり、うらやましくてモヤモヤしたり、私もあの場所にいたかったなと思うようになってきました。そこは、前とは変わった部分です。
今でも、みなさんと同じラインに並んでいるとはまだ思えないですけど、女優としてこうなりたいというのが、だんだん自分の中に生まれてきています。
私が尊敬している女優さんは、安藤サクラさんです。作品ごとに顔が違っていて、それって女優の醍醐味ですよね。私も、今は年相応の作品をいただいているので頑張りたいですけど、もう少し大人になったら、人間臭い、裏があるような役も演じて、見ている人を引きつける女優さんになりたいなと思っています。
動ける女優さんにも、なりたいです。土屋太鳳さんや清野菜名さんのような運動神経が抜群にいい女優さんを見ていると、かっこいいなって。私のイメージにはないと思いますけど、実は運動神経というのは、私が唯一、自信が持てることなんです。学校のマラソン大会で成績がよくて、陸上部の先生にスカウトされたことがあります。体育の授業だけは、いきいきしてる生徒でした(笑)。いつか機会があれば、アクションもやってみたいです。自分のイメージを裏切っていきたいですね」
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。