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池田エライザ 芝居は自分を成長させてくれる場所

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NIKKEI STYLE

現在22歳の池田エライザが、女優としての存在感を増している。そのほんわかとしたルックスの内側には、うかがい知ることのできないほど、女優業に対する熱い思いを秘めている。その歩みを振り返ってくれた。

デビューは2009年。ティーン誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを獲得して専属モデルになり、13年からは『CanCam』の専属モデルに。その一方で、11年に『高校デビュー』で映画デビューを果たし、17年は5本のドラマと3本の映画に出演。『CanCam』専属モデルを卒業した18年はすでにドラマ5本に出演し、映画は7本が公開予定だ。

「改めて振り返ると、本当に働いてますね(笑)。演じてきたキャラクターは、何かを開拓したり、成長する役が多いんです。自分自身は立ち止まって前に進めなかったことを、役では乗り越えていく。その役の気持ちを理解して演じるためには、自分自身を掘り下げなきゃいけなくて。そういうことを繰り返していると、できなかったことができるようになったり、見つけられるようになる。お芝居は自分を成長させてくれるので、いろんな現場に行かせてもらえることを素直に幸せだなと思います」

女優として注目されたのは、15年の園子温監督の映画『みんな!エスパーだよ!』だった。染谷将太演じる主人公の幼なじみで、ヤンキーの女子高生役をオーディションで射止め、パンツ丸見えの飛び蹴りシーンなどに果敢に挑んでみせた。

「ある日、『エスパー』の現場に行くと、染谷君がすでに来ていて照明部や録音部のスタッフさんたちの仕事ぶりを熱心に見ていたんです。この人は本当に映画の現場が好きなんだなと感じました。そんな染谷君を見たら、空っぽのまんまでお芝居したらダメだと思ったんです。スタッフの方たちも同じ方向に向かって、そこにいる。そんな方たちの前で手を抜いたら絶対ダメだと思いました。

印象深いのは、泣くシーン。園監督からダメ出しされ、『悔しかったことや悲しかったことを全部思い出せぇー! そして泣けぇー!』って言われたんです。そのときの映像が残っているんですけど、私、ずっと監督をにらんでいるんですよ(笑)。でも次の瞬間、ぶわーっと涙があふれると、監督が『カメラを回せー。ハイ、カット! OK!』って。その瞬間、私は『なんじゃ、この気持ち良さは。幸せぇー!』と思って、女優としてやっていきたいと思いました。

女優に開眼した池田は助演を重ね、17年には『一礼して、キス』で映画初主演。今夏の『ルームロンダリング』でも主演するなど、作品を率いることも増えてきた。

「主演であっても主演でなくても、演じる意識は変わらないですね。女優をやっていると、自分は発信者と思うときもありますけど、基本的には代弁者なんです。監督の声や思いをちゃんと聞かなくてはと思うし、脚本家が机に向かって書き上げた時間をないがしろにしないよう、演じたい。そのためには、技術的なことも学ばなきゃいけないし、感情の引き出しは増やさなきゃいけないですけど、それは当たり前。もっと演じる役の気持ちの部分を丁寧にすくえれたらなと思っています」

最近は、演じる役の年齢の幅も広い。8月公開の映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で90年代のコギャル女子高生を演じた一方、今秋にテレビ東京で放送され、その後パラビで配信されているドラマ『tourist』(第2話)では結婚を決意した25歳のホノカを演じる。

「女子高生役は、リアル女子高生の方たちに申し訳ないって思いながら演じています(笑)。ただ、私は10代の多感な時期に感じたいろんな思いをメモしていて、その頃の思いが強く残っているので、年齢より下の役は気持ちに寄り添って演じられるんです。

年上の役は経験していないので、例えばホノカなら、今の年齢から25歳に至るまでにどんなことを経験してきたのかといった情報を叩き込むんです。そして、そんな女性は話すときには腕を組んだり、目の端をかいたりとクセがあるんじゃないかなと、キャラクターを作っていく。私、日頃から人間観察をしていると思います(笑)」

週に2~3冊本を読むほどの読書家で、「エンタテインメントとしてだけでなく、人を知るため、多くを学ぶために読む」と明かす。真摯で、いい意味でどん欲だ。

「『tourist』はテレビ放送だけでなく、配信もされます。世界的に動画配信の需要が高まっている。私は、映画館で見る映画ももちろん大好きですけど、なぜ動画配信が求められるのかは、自分自身で体験してみないと分からないと思っています。

撮影現場に行くだけで楽しかったんですけど、主演を経て、『いつかは賞も取りたい』と思うようになってきました。撮影現場で地面に座りながら一緒にご飯を食べたみなさんが、『俺が撮った作品が賞を取ったんだよ』と自慢できるのっていいなと。賞って、目に見える恩返しかなと思うんです」

(ライター 前田かおり)

[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]

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