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変動型住宅ローン、「5年ルール」のリスクは要注意 金利上昇時、利払い先送りで負担増

2018/10/13

写真はイメージ=PIXTA

住宅ローンで変動型金利を選ぶ人が増えています。金利水準が固定型に比べて低く、この先もすぐには上がらないと考える人が多いようです。変動型の場合、金利が上がっても毎月の返済額が急には増えない「5年ルール」と「125%ルール」をもうける金融機関が目立ちます。当面の生活設計を立てやすい半面、これらのルールにはリスクが伴う点に要注意です。

■5割超が変動型を選択

2017年度下期に住宅ローンを組んだ人のうち、変動型を選んだ割合は56.5%です(住宅金融支援機構のアンケート調査より)。前年同期に比べて9ポイント増え、過去最高になりました。

変動型ローンの金利は、短期金融市場の金利を参考に金融機関が決めます。日銀のマイナス金利政策の導入後、短期金利がさらに下がった結果、新規借入時の適用金利は大手銀行のケースで0.7%前後となっています。

借り入れ後の適用金利は半年に1度、見直すのが通常です。そのときに短期金利が上がっていれば適用金利は引き上げられ、その分、借り手が支払うべき利息が増えます。

ただし、「月9万円」などと借入時に決めた毎月返済額がすぐに増えることは通常ありません。金融機関の多くが、金利の急上昇時に延滞が発生するのを防ごうと、5年ルールを採っているためです。

これは、仮に途中で適用金利を引き上げたとしても、5年間は毎月返済額を変えないという契約上の決まりです(元利均等返済の場合)。5年ごとに返済額を見直す際、それまでの1.25倍までしか毎月返済額を上げないという125%ルールもあります。

毎月返済額が増えないといっても、利払いの負担増を免れるわけではありません。

例えば3000万円を変動型0.625%、期間30年で借りたとしましょう。毎月返済額は約9万1300円です。このうち7万6000円(2カ月目)は元金の返済に回りますが、残りの1万5300円(同)は利息の支払いに充てられます。

仮に半年後、適用金利が3.7%に引き上げられたとします。極端な例ですが、この場合、支払うべき利息は約9万1500円に膨らみ、毎月返済額さえ上回ってしまいます。全額が利息の支払いに充てられ、それでもなお、未払いの利息が残ります。元金は1円も減らず、返済が後ろにずれ込んでいきます。

■ルール、導入していない銀行も

125%ルールの範囲内で返済額を増やしたり適用金利が下がったりすると未払い利息は解消することもあります。解消できなければ、最終返済時に別途まとめて支払う可能性もあります。ルールはすべての金融機関が採っているわけではありません。例えば新生銀行やソニー銀行は、金利上昇時の影響に利用者が気付きにくいなどとして現在、導入していません。

変動型ローンは、途中で適用金利が変わったときに元金の返済ペースがどうなるかを把握することが欠かせません。住宅ローンのコンサルティング会社、MFS(東京・千代田)社長の中山田明さんは「金融機関が半年ごとに送付する返済予定表などで確認するとよい」と助言します。返済が思ったより進んでいなければ、「(元金を前倒しで返す)繰り上げ返済をするのが一案」と勧めています。

[日本経済新聞朝刊2018年10月6日付]

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