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堅い「会計」に血が通う 歴史エピソードで解説 「会計の世界史」 田中靖浩氏

2018/10/10

「広く会計に興味を持ってもらいたかった」という田中靖浩氏=Photo/Tadashi Okochi

「会計」と聞くと、自分には縁遠いと感じる人も少なくないかもしれない。公認会計士である田中靖浩氏の「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)は、そんな取っ付きにくいイメージのある会計に、歴史の側面から光を当てた一冊だ。レオナルド・ダ・ビンチからビートルズまで大勢の著名人のエピソードを盛り込んでおり、人間の営みとともに進化してきた会計への興味をかき立てる。数式もグラフもない会計本に挑んだ田中氏に会計史の魅力を聞いた。

■会計500年の歩み、人の営みとともに

会計にまつわるベストセラーには「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉氏、光文社新書)や「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」(小堺桂悦郎氏、フォレスト出版)など、会計の意外なからくりを解き明かすようなタイプが多かった。会計の仕組みを真正面から解説するような本は、経理部で働く人向けと思われがちで、財務諸表や数式、グラフの難しさも敬遠される一因となっていた。田中氏は、歴史に光を当てることで「エピソードの持つ人間味や食いつきやすさを生かして、広く会計に興味を持ってもらいたかった」と話す。

15世紀のイタリアに始まり、17世紀のオランダ、19世紀の英国、そして20世紀の米国へ――。約500年にわたって、会計のノウハウが磨き上げられていった流れを、田中船長のかじ取りで歴史クルーズに出るかのような趣でつづっていく。「経理担当者以外のビジネスパーソンにとって、会計の個別でテクニカルな処理は重要ではない。なぜそんなルールが存在するのか。どうしてその決まりに従わなければならないのか、という大枠をつかむことこそ大切だ。とりわけ経営者の場合、仕組みの根っこにある意識や哲学を知っておく意味は大きい。そこで歴史のエピソードが説得力を持つ」と田中氏はみる。

たとえば、レオナルド・ダ・ビンチの芸術家としての「誕生」にまつわるエピソードはこうだ。父は力のある公証人だったが、ダ・ビンチは「後継指名」されず、おかげで家にたくさんあった紙にアイデアを書き留め、画力を磨くことができた。

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