本庶氏開発のがん治療薬オプジーボ 効果には個人差

がんの種類にかかわらず幅広く有効である可能性

長らく、がんの治療には、手術して腫瘍を取り去る方法と、放射線照射や抗がん剤投与によってがん細胞の増殖を抑制し、殺す方法が用いられてきました。

免疫チェックポイント阻害薬は、そこにがん免疫療法という選択肢を追加しただけではありません。特定のがん細胞を攻撃する化学療法とは異なり、がんの種類にかかわらず幅広く有効である可能性を持っており、多様ながんを対象とする臨床試験でその効果が示されています。

また、アリソン氏が発見した免疫チェックポイント分子「CTLA-4」をターゲットとして開発されたヤーボイは、オプジーボと作用点が異なるため、併用すると効果が高まることが示されています。国内では、2018年5月に悪性黒色腫患者に、2018年8月には腎細胞がんの患者に、両薬剤を併用することが許可されました。

現在では、PD-1を標的とする別の薬剤や、上述したPD-L1を標的とする薬も登場しており、今後もこの領域では新薬が登場する見込みです。

オプジーボの効果には個人差があり、重い副作用のリスクも

オプジーボが画期的な薬であることは間違いありません。ただし、すべての患者に有効な、夢の薬ではありません。

この種の薬剤は通常、点滴により投与されるため、その作用は全身に及びます。自分の組織に対する免疫反応を抑制していたブレーキの解除が全身で起こるとしたら、本人の遺伝的な背景や環境要因によっては、あらゆる臓器に過剰な免疫反応が起こる可能性があります。

実際に、患者に現れる副作用はさまざまで、間質性肺炎、甲状腺機能異常、劇症1型糖尿病、自己免疫性腸炎、重症筋無力症などの重大な副作用が10%の患者にみられたという報告もあります(参考資料3)。したがって、投与の可否は主治医によって慎重に判断され、投与開始後には、注意深い経過観察が行われます。

免疫チェックポイント阻害薬の効果は人ごとに異なります。顕著な効果が見られる患者がいる一方で、効果がない患者や、急速な悪化を経験する患者もいます。患者は医師と十分に話し合って、自分が望む毎日と人生を送るために最も適した治療法を選んでほしいと思います。

【参考資料】

1)京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学講座 ホームページ

2)本庶佑「獲得免疫の驚くべき幸運」(2016年京都賞基礎科学部門受賞記念講演録)

3)「免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ(オプジーボ)、イピリムマブ(ヤーボイ))などの治療を受ける患者さんへ」(公益社団法人日本臨床腫瘍学会)(2016年7月13日)

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2018年10月4日付記事を再構成]

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