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働き盛りの女性のがん 時短や在宅勤務、企業も支援

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医療の進歩でがんは長くつきあう病気になってきた。このため、働きながら治療ということも。特に女性がなりやすい乳がんなどは働き盛りに患うことも多い。内閣府の「男女共同参画白書」は2018年版で初めて「女性とがん」に注目、検診受診率の向上や治療と仕事の両立が重要だと指摘する。柔軟に働ける職場づくりが求められている。

働く人が、がんと診断された場合、職場に伝えるかどうか悩むことも多い。国立がん研究センターの高橋都・がんサバイバーシップ支援部長は「病気を職場で完全に伏せているのは調査で1割程度。実態はもっと多いだろう」とみる。病気への偏見や人事評価を懸念し、黙って有給休暇などで治療する人もいれば、離職してしまう場合もある。

アフラック、「シフト勤務」や「療養短時間勤務」

保険や医薬・医療機器など病気と関わる事業を手掛ける企業は、社員のがん治療を支える仕組み作りが進んでいる。アフラックのショップ支援課コンサルタント、辻恵美利さん(51)は16年9月、乳がんの診断が確定。仕事は店舗の接客向上のための研修の講師で地方出張もあり「日程調整が必要」と、がんの疑いがあると知った時点で上司に伝え、診断確定後に同僚らに部署の打ち合わせで話した。「仕事は辞めないでという医師の助言もあり、退職は選択肢になかった」と辻さん。

今は地方出張は免除。3カ月に1回、経過観察で受診しながら講師として活躍する。治療中は仕事はおろか「涙しか出ない日」もあった。手術後は体力もなく、腕が上がらないなど後遺症にも苦しんだ。復帰できたのは「様々な働き方を選べたことと上司の対応が大きい」と話す。

半年ぶりの本格的な仕事再開で助かったのは勤務時間をずらせる「シフト勤務」や「療養短時間勤務」。当初から「大丈夫」と笑顔で支えてくれた上司は資料作りや、病気体験をまとめる作業も在宅勤務と認めてくれた。

「会社にいろいろな働き方の仕組みがあると分かった。体験を伝えて恩返ししたい」。辻さんは復帰後、17年12月に発足した、がんを体験した社員のコミュニティー「オールリボンズ」に加入した。

活動の柱の一つは、不安や悩みを同じ立場で支え合うピアサポート。「闘病記はたくさんあるが、社内での振る舞い方などは意外と情報がない」と伊藤道博・人事部人事企画課長。参加者は自身の体験記を匿名で社内サイトにアップし、産業医を仲介役に、がんに罹患(りかん)した社員からの匿名相談に応じる。

がん体験者なら誰でも参加でき、現在は女性11人と男性9人が集う。職場で病気を開示していない人もいる。事務局は一部の人事部員と産業医が担い、月1回は会社の就労支援などを話し合う会合も開く。15年に乳がんと診断された営業支社の30代のある女性社員は「同じ社員同士今後のキャリアや働き方の参考になり、愚痴も言える」と話す。

この女性は乳房の再建手術後、炎症による緊急入院も経験。「自力だけでがんばるのは限界がある」と業務でかかわる相手には病気を伝え、「できる・できないなど自分の状況を適切に伝えるよう心がけている」。前出の高橋部長も「不調によって仕事に影響が出てしまうようなら同僚らの支援を得るのも手」と話す。「病気を説明することが必要にはなるが、無理して自分を追い込む前に上手に仲間の支援を引きだそう」と呼びかける。

テルモ、過剰な気遣いなく自然に受け入れ

国立がん研究センターによると、生涯で乳がんになる女性は11人に1人と女性のがんの罹患数トップ。乳がんと子宮がん(罹患数5位)は20代後半から罹患率が上昇。働き盛りの40代後半から高まり、50代も高い。このことから50代前半までは女性のがんの罹患率が男性を上回る。

厚生労働省の健康局が10年の「国民生活基礎調査」から特別集計した結果では、仕事をしながら、がんで通院している人は男性が14.4万人に対し、女性は18.1万人。女性の就業率の上昇もあり、さらに増加するとみられる。

テルモのクリニカルサポート部学術チームの課長、小山田香さん(55)は07年に卵巣がんと診断され、2度の転移を経験。今は3カ月に1度、経過観察で受診しつつ働く。

3度目の復帰の日、普段通り自席へ。「お帰りなさい。一同」。机上のメッセージにグっときた。「心の負担を感じずに済んだのは、過剰な気遣いなく皆が普通に受け入れてくれたおかげ」。最初に罹患を伝えた際の上司が傷病手当金の申請はじめ「自分で気づかないことまで淡々と手続きを進めてくれた」のもありがたかったという。

がんは種類や症状も様々。一律ではない「働く」と「休む」の繰り返しを支えるため、テルモは17年に「がん就労支援ルール」を制度化した。患者の就労支援は、3月に策定された第3期がん対策推進基本計画でも重要課題に位置づけられた。高橋部長は「治療しながら働いている人もたくさんいる。本人の気持ちが第一だが、がんと診断されて即、『もう働けない』と思わないで」と強調している。

早期発見へ検診身近に ~取材を終えて~

「女性はぜひ検診を受けて」と辻さん。早期発見は治療のカギ。09年に検診車での乳がん検診を導入したベネッセホールディングスでは、親友を乳がんで亡くした当時の人事担当の女性が制度化に尽力した。働く女性が増えるなか、業務の合間に受けやすい検診の広がりに期待したい。乳がんは自己触診も大切。エイボン・プロダクツ(東京・新宿)が10月に著作権フリーで公開した専門医監修の自己触診の動画「乳液セルフチェック」なども参考になる。

取材した女性たちは口々に仕事を肩代わりしてくれた同僚への配慮や感謝を語った。「待ってるよ」の一言が励みになったとも。時に思わぬ不調に見舞われつつ働くうえで職場の支えは大きい。日ごろから相談しやすい雰囲気があれば罹患も伝えやすく一人で抱え込まずに済む。就労支援には柔軟な働き方など制度に加え、互いを尊重し風通しのよい職場づくりが欠かせない。(女性面編集長 佐々木玲子)

[日本経済新聞朝刊2018年10月8日付]

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