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World Food Watch

個性あふれる「幽霊」ビール醸造所、日本でも出没

2018/10/11

Far Yeast Brewingの山田司朗社長(左)

そこで海外に目を向けた。同社取締役の山田睦氏のつてで、ベルギーのデグラール醸造所と契約を締結した。国内で委託するより輸送コストがかかるが、つくりたいものをつくることと、品質を優先させた。さらに、ヨーロッパの販路開拓という面でもプラスに働いた。

こうして2012年にでき上がったブランドがKAGUAで、サンショウやユズなど和の原料を生かしたビールを展開している。現在は16カ国に輸出しており、特に日本食レストランやホテルなど、じっくり味わう雰囲気があるところを中心に受け入れられている。

2014年には新ブランドで現在の社名にもなっているFar Yeastを投入。今度は静岡県御殿場市のDHCビールに製造を委託した。こちらも、インターナショナルビアカップといったビール審査会で受賞を重ねるなど好評を博している。

そして2017年6月に小菅村にブルワリーを立ち上げ、製造を開始。以来、Far Yeastブランドはすべて自前で生産している。

「契約醸造から始めたおかげで、自前のブルワリーを持つまで段階的に成長していくことができたと思っています。世界的に有名なビールブランドの中には、主力銘柄は他社の大きなブルワリーで委託醸造して、自前の設備では実験的なビールをつくるという使い分けをしているところもあります」(山田社長)

現在も委託醸造でつくられているKAGUAブランドのビール

ファントムブルワリーや委託醸造というあり方は1つの会社で製造から販売、さらには提供まで手掛ける「顔が見えるものづくり」のイメージに合わない面があるかもしれない。しかし、小規模のビジネスでも成長しやすく、消費者にとっては様々な特徴を持つビールを楽しめるようになるメリットがある。それがファントムの強みと言える。

(熊谷勇一)


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