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関西地方などに大きな被害をもたらした台風21号(9月4日、大阪市)

関西地方などに大きな被害をもたらした台風21号(9月4日、大阪市)

北海道地震、西日本豪雨、相次ぐ台風被害――。2018年、日本列島は未曽有の自然災害に襲われた。東日本大震災などを受け、企業のBCP(事業継続計画)対策は進んできたが、地震への備えが中心のところが多い。災害対策に詳しいSOMPOリスクマネジメント(東京・新宿)の篠目貴大BCMコンサルティング部長に、多様化する自然災害への対応策について聞いた。

災害の種別の予測は限界 損害の結果から考える

――今年は様々な自然災害が起こりました。企業からはどんな問い合わせが来ていますか。

SOMPOリスクマネジメントの篠目貴大BCMコンサルティング部長

SOMPOリスクマネジメントの篠目貴大BCMコンサルティング部長

「内閣府の調査によると、すでに大企業では6割がBCPを策定しています。政府の地震調査委員会の調べでは、30年以内に震度6以上の地震が発生する確率は、熊本市では8%でしたが実際に発生しました。しかし、(複数のプレートが重なる南関東の)千葉市や横浜市では80%以上ですがまだ起きていません。広域で予期しない甚大な被害が出るのは地震なので、地震対策が主軸です」

「一方、まさか大雨で洪水となり、何人もの方が亡くなる大災害に発展するというところまでは想定していない企業がほとんどです。特に西日本豪雨の後は水害についての対策についての問い合わせが増えています」

――想定外のことばかりですが、企業はどんな対策をすべきですか。

「もし地震を主軸にすでにBCPを策定しているなら、それを水害に応用することをやるべきでしょう。水害については、例えば台風だと数日前からどういう進路をたどるかが予測できます。西日本豪雨のときも前日に気象庁から『数十年に一度の災害が起こる可能性がある』と警戒のメッセージがありました。予知しにくい地震に比べると対策はとりやすいと思います」

「とはいえ、様々な災害を想定して対策を考えるのは限界があります。また、大きな台風がきたとして、洪水になるかもしれないし、空港の設備が破損するかもしれないし、結果として何が起こるかは予測しきれない。ですから、『もし何らかの事情でこの工場が使えなくなったら』『部品が供給されなかったら』と、企業に与える損害の結果からケーススタディーをすることが必要でしょう」

「BCPとはビジネスの継続です。もし工場が動かないのなら代替手段を考える必要があります。別の工場でも作れるようにするならば、どんな生産設備が必要か、部品の供給ができるか、その工場は認証がとれているのか、といったことを考えます。BCPの見直しはもちろん、訓練することが重要になってきており、当社にもどのように訓練をすればよいか問い合わせが増えています」

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