ドラマ満足度ランキング 1位は『グッド・ドクター』
リアルタイムの視聴率だけでは分からないが、実は人の心をつかんでいるテレビ番組は何か。録画のほか、配信などテレビ以外での視聴も含み、2018年7月1日から8月5日までの期間で「見た」ものを対象に、ウェブ調査を実施。実際に視聴した「接触数」と、面白かったかを5段階評価する「満足度」を集計、平均値を出したものから、人気番組を探った(調査はエイト社。1都6県、10代から70代までの各「視聴者層」の区分で男女120人ずつ、計960人が対象)。ドラマのランキングと分布図を見てみよう。
7月期ドラマは、心に響く良作が多いと評判。なかでも反響を呼んだ『グッド・ドクター』が1位となった。コミュニケーション能力に障害があるサヴァン症候群の主人公が、偏見を乗り越えて、小児外科医を目指す物語。「内容がとてもデリケートだけど誠実」(女性56歳)、「毎回感動する」(男性28歳)」と、温かい内容が高評価だった。また、「山崎賢人の演技力に脱帽した」(男性16歳)、「山崎君がかわいくてほっこりする」(女性52歳)、「主演の演技が素晴らしい」(男性44歳)など、山崎賢人への賛辞もかなり見られた。
2位は、『義母と娘のブルース』。キャリアウーマンの女性が一生懸命に母親になろうとする姿が、コミカルに描かれる。「綾瀬はるかさん演じる主人公の真面目さが面白い」(女性37歳)、「義母の活躍がスカッとする」(女性60歳)など、主人公のキャラクターが人気。「いい意味で事前の予想を裏切る内容」(男性31歳)、「切ない話が良かった」(男性78歳)など、男性支持も高かった。
山田&菅田コンビが好評
3位には『dele(ディーリー)』がランクイン。視聴率では埋もれる形になったが、満足度では上位に入った。作家の本多孝好が初めて連ドラの原案・脚本を手掛けたオリジナル作。デジタル遺品を題材に、多彩な人間ドラマが1話完結でつむがれる。山田孝之と菅田将暉が主演というぜいたくなキャストでも話題になった。「内容に引きつけられる」(女性18歳)、「データ消去という今どきのテーマで興味を持った」(女性49歳)、「痛快なコンビで、深夜放送にしては面白い」(男性68歳)など、ストーリーを評価する声が多数。「普段ドラマは滅多に見ないが、菅田&山田コンビに期待したら大当たり」(女性49歳)と、新しい視聴者も取り込めていそうだ。
7月期は医療ドラマが好評で、『グッド・ドクター』だけでなく、4位には『透明なゆりかご』が入った。町の産婦人科医院を舞台に、高校生の看護師見習いの目線を通して、きれいごとだけではない出産の現実と、命を見つめる物語。「これまで触れられてこなかった部分に踏み込んでいる」(男性47歳)、「幸せについて考えさせられる。切ないけどいいドラマ」(女性34歳)など、見応えを感じている人が多い。また、「厳しい内容が透明感のある映像で描かれていて、見ていて辛くない」(女性60歳)、「淡々と、かつインパクトのある見せ方で、毎回涙している」(女性41歳)と、演出面も好印象のようだ。
5位は『この世界の片隅に』。戦時中の広島県呉を舞台に、この地に嫁いだ女性の日常を温かくつづる。「もの悲しさの中に小さな幸せ感があって、丁寧に作られていると思う」(女性50歳)、「戦争のつらさがにじんでいて考えさせられる」(男性37歳)といった内容への評価のほか、「アニメ映画も原作マンガも知っているのでドラマ化が楽しみだった。オリジナルの展開もあり面白い」(男性26歳)など、リメイク作品ならではの楽しみ方をしている人も多かった。
『西郷どん』は男性支持
6位には、大河ドラマ『西郷どん』がランクイン。接触数の内訳をみると、突出して男性が上回っており、「西郷の人間性が魅力的」(男性49歳)、「迫力が素晴らしい」(男性27歳)など、男性を中心に高い満足度を示していた。
7位には『刑事7人』、9位に『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』、10位に『遺留捜査』と、シリーズの刑事ドラマはやはり安定した人気を持っている。この中では『絶対零度』の接触数が頭1つ抜けており、「前シリーズから見ていたから毎週の展開が楽しみ」(女性16歳)、「本田翼のアクションシーンがカッコいい」(女性17歳)など、10代女性の視聴者が多かった。
8位には『サバイバル・ウェディング』が入った。とんでもない恋愛テクニックを駆使して婚活する姿が描かれるコメディ作品。『女子力を高めるのに役に立つ』(女性52歳)、『時々出るファッション業界の歴史が面白い』(女性21歳)など、原作小説が持つ実用書的な側面がドラマにもマッチした。
※視聴率はビデオリサーチ関東地区調べ。平均視聴率は編集部で作成。小数点2位以下は四捨五入。放送時間拡大などによる加重平均はしていない。
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]
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