日米株高はまだまだ続く 経済に構造変革(武者陵司)武者リサーチ代表

米中貿易戦争の影響が懸念されるが、一方的受益者であった中国は全面的譲歩を迫られるだろう。他方、米経済に対する影響は限定的とみられる。関税引き上げは対中輸入価格の上昇をもたらすが、現在の好況下ではそれが米国の総需要を大きく押し下げることにはなるまい。

日本のファンダメンタルズも好調

米同様、日本でも経済に構造変革が起きている。ファンダメンタルズは好調だ。戦後最長の景気拡大を見据えつつ、失業率は2.4%と、労働需給は逼迫の状態である。賃金も建設、トラック、パート時給などで顕著な上昇が見られる。経団連によると、18年夏のボーナスについて大手企業の平均妥結額は前年比8.62%増の95万3905円と、1959年の調査開始以来で最高となった。依然として本格的賃金上昇に結び付いていないのは労働参加率の上昇により、就業数が増加しているためといえる。

しかし、潜在的労働者のプールも枯渇するのは時間の問題で、その暁には顕著な賃金上昇が起きることは確実であり、2019年にははっきりと表れるだろう。インフレ圧力としては、すでに不動産価格や家賃の上昇が鮮明になっている。

日本株も米株とともに歴史的上昇の波の中にあり、上昇はまだまだ続くと考える。日経平均は約27年ぶりの高値を更新したことで、アベノミクス開始以来の5年間で2.5倍(年率20%)となり、長期上昇がいまだ継続していることが示された。悲観論がまん延する中での上昇は日本経済の新レジームの下で繁栄を株式市場が無視できなくなっていることを示唆する。

日本経済の新レジームとは日本企業のビジネスモデルの確立に裏付けられた企業収益力の顕著な改善だ。具体的には(1)脱価格競争・技術品質への特化(2)国際分業体制構築――といった2要因による価値創造の仕組みである。

デフレ脱却が見え、日本株は最高値も視野

19年の新天皇即位、20年の東京五輪などイベント効果も期待できる。19年秋の消費税増税は懸念要因であるが、加速力を強める景況改善により、14年のときのような景気失速は回避されるのではないか。デフレ脱却というアベノミクスのゴールが見えてきたといっていいだろう。

年率20%の上昇の波が続くとすれば、日経平均は18年末に2万7000~2万8000円、19年末には3万2000~3万3000円、20年末には3万8000円~4万円と、史上最高値が視野に入ってくる。日米の好ファンダメンタルズに基づいた長期の株価上昇が世界経済の推進力になると考える。

武者陵司
武者リサーチ代表。1949年長野県生まれ。73年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券入社。企業調査アナリストを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト。97年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長。09年武者リサーチ設立。著書に「超金融緩和の時代」(日本実業出版社)など。
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし