日米株高はまだまだ続く 経済に構造変革(武者陵司)武者リサーチ代表

この新自由主義体制の挫折は混迷が長く続くかと懸念されたが、(7)の10年以降に新たな上昇の波が明確に始まった。これをどのような経済体制と性格づけるべきかはっきりしないが、歴史的技術革新、新産業革命の下で米国のインターネット・プラットフォーマー(基盤提供者)が世界中で稼ぐイノベーション時代であることは確かである。過去、長期上昇の波が20年は続いてきたことを考えると、今はまだ上昇の前半といえるかもしれない。

低成長時代に入ったとの説は否定される

米経済は独り勝ちの色彩がますます濃くなっている。年3~4%の経済成長が視野に入っているのは先進国の中では米国だけである。失業率は4%を切り、完全雇用をほぼ実現している。低迷していた物価も米連邦準備理事会(FRB)の目標の2%がほぼ達成された。日欧は信用創造が事実上停止する「流動性のワナ」に陥ったままであるのに、米国だけは、長期金利が上昇に転じ十分な長短利ザヤの下で、銀行貸し出しが増加し、金融機関の収益体質は大きく強化されている。

リーマン・ショック以降、低成長時代に入ったとする「ニューノーマル(新常態)論」、「長期停滞論」、「繁栄終焉(しゅうえん)論」などが提唱されたが、事実によって否定されつつある。

好況なのに物価も金利も抑制されている。だから景気を冷ます金融引き締めもバブルの崩壊も起きようがないのである。19年6月に米国は10年という戦後最長の景気拡大記録を更新することはほぼ確実であろう。

この好都合すぎる現実の根本原因は半導体・通信技術の発展だ。技術進化は空前の生産性上昇を労働生産性と資本生産性の双方にもたらし、企業はそれにより膨大な富を生み出している。企業はもうかり、使い切れない資本が金利を引き下げている。また生産性の上昇が供給力の天井を押し上げ、物価下落圧力を定着させているのである。

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