iPhoneバックアップどうする 便利なストレージ2選
戸田覚のデジモノ深掘りレポート
今回はiPhoneをバックアップするためのサンディスク製のストレージ2つを取り上げる。今更という印象を受ける人も多いだろうが、実はそうでもない。iPhoneのバックアップ環境はかなり厳しくなっているのだ。
それというのも、iPhoneの容量は増加する一方で、iPhone XSにいたっては64GB、256GB、512GBの3択になっている。写真や動画、音楽を保存するからと余裕をもって512GBを選ぶ人もいるだろう。
その一方で、パソコンの側に目を向けると内蔵ストレージの容量がどんどん小さくなっている。モバイルノートや2in1が全盛で、読み書きが高速なソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を搭載する製品が増えたのはよいのだが、内蔵ストレージは128G~256GBが主流。こうなると、iPhoneのバックアップをパソコンに取るのは無理があるのだ。
かといって、iCloudに保存するとしても5GB以上は有料契約が必要になるし、容量が大きいとインターネットへのアップロードに時間がかかる。そこで、ローカルにバックアップができる専用品に魅力を感じたというわけだ。
2つの製品のうち、「iXpand Compact フラッシュドライブ」はiPhoneに直接挿してデータをやり取りできる製品。「iXpand Base」はiPhoneを充電する際、この上に置いておくと自動でiPhone内のデータをバックアップしてくれる製品だ。両方使ってみると用途や利用シーンが異なるので、それぞれ紹介したい。
USBメモリー的に使える
まず「iXpand Compact フラッシュドライブ」は、USBメモリーのような製品で、片側にLightning端子、逆側にUSB端子を備えている。サイズもUSBメモリー並みで、それぞれの端子には樹脂製のキャップが付いている。このキャップは本体とつながっているので、外しても紛失する心配がないのがうれしい。
利用にあたっては、専用のアプリ「iXpand Drive」をiPhoneにインストールする必要がある。とはいえ、iPhoneにiXpand Compact フラッシュドライブを挿し込めばアプリのインストールが促されるので手順はとても簡単だ。一度インストールしてしまえば、iXpand Compact フラッシュドライブを挿し込むたびに勝手にアプリが起動して使えるようになる。
とにかくiPhoneの容量が足りない人向き
iXpand Compact フラッシュドライブは、iPhoneの内蔵ストレージ残量が既に足りなくなりつつある人にお薦めだ。もちろんバックアップの用途でも使えるのだが、写真や動画をiXpand Compact フラッシュドライブにコピーすると、削除を促される。古い写真や動画などのデータをiXpand Compact フラッシュドライブに移行して、iPhoneの空き容量を増やすのが主な用途と言っていいだろう。
iXpand Compact フラッシュドライブに移したデータはiPhoneに戻すこともできるし、保存した写真や動画をiPhoneで表示、再生することもできる。
さらに、専用アプリから撮影すれば写真がiXpand Compact フラッシュドライブに直接保存される機能もあった。本体がコンパクトでiPhoneに挿しっぱなしで使ってもあまり負担がないのがいいところだ。
iXpand Compact フラッシュドライブからパソコンにファイルを移す際には、パソコンのUSB端子に挿し込めばOKだ。ちょっと気になったのは表示にタイムラグがあること。サムネイルを表示するのにもちょっと待たされる。特に動画は待たされる印象が強い。
充電しながらバックアップする
iXpand Compact フラッシュドライブは内蔵ストレージがいっぱいになったiPhoneのデータ移行に向くのに対し、iXpand Baseは日々のバックアップに向く製品だ。充電中にデータをバックアップするというのがコンセプトだ。
iXpand Baseは一見、ワイヤレス充電器のようだから、充電もデータのバックアップもワイヤレスでやってくれるのかと思いきや、実はそんな機能はない。iXpand Baseは裏面にUSB端子があり、ここにLightningケーブルをつないでiPhoneと接続する。また、バックアップされたデータは、iXpand BaseのSDカードスロットに差し込んだSDカード(付属)に保存される。SDカードがいっぱいになったら、データをパソコンに移すか、別のSDカードに差し替えればいい。
こちらもiXpand Compact フラッシュドライブ同様、iPhoneに最初にケーブルを挿したときに専用アプリのインストールを促される。アプリをインストールしてしまえば、次回以降はケーブルをつなぐだけで勝手にバックアップされる。新しいファイルを検出してバックアップしてくれるのが賢い。さらに、複数のiPhoneのバックアップにも対応しているので家族で共有することもできる。
iXpand Baseが威力を発揮するのは、iPhoneを買い替えたり故障などで初期化したりしたときだ。バックアップしておいた写真や連絡先をすぐに戻せるのは便利だ。iCloudやGoogleフォトなどのクラウドストレージにバックアップを取っておいてもいいのだが、データ量が増えてくると有料になったりファイルがリサイズされたりと制約もある。また、データ容量が大きいとiPhoneに書き戻すのも面倒だ。写真や動画など容量が大きいものをローカルに保存できるメリットはまだまだ大きいと思う。
iXpand Baseで非常に残念なのがLightningケーブルが付属しないことだ。誰でもケーブルは所有しているだろうが、この製品向けの短めのケーブルを付けてくれれば、見た目もよりスマートになったのではないかと思う。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。近著に、『ここで差がつく! 仕事がデキる人の最速パソコン仕事術』(インプレス)がある。
[日経トレンディネット 2018年9月11日付の記事を再構成]
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