突然みぞおちに強い痛みが… 考えられる怖い病気は?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)急性膵炎
(2)胆石
(3)心筋梗塞
(4)大動脈解離
正解は、(1)~(4)全部です。
心筋梗塞や大動脈解離でみぞおちが痛むことも
ストレスなどで日ごろからよく腹痛になる人でも、みぞおち(上腹部)に突然、強い痛みが走った場合、「いつもの腹痛か」と思わずに、すぐに救急車を呼んだほうがいいケースがあります。
慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター教授の鈴木秀和さんは「みぞおちを中心とした上腹部には、胃、十二指腸などの消化器だけでなく、心臓、肝臓、膵臓、胆のうなど重要な臓器が納められています。これらの臓器の異変が上腹部の痛みとなって表れることも多い」と話します。
例えば、それまで元気だった人を突然襲い、死に至らしめる心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が狭くなり、そこに血の固まりである血栓が詰まって血流を塞いでしまう病気です。発症すると胸部の激痛や圧迫感、痛みによる不安感、恐怖感を訴えることはよく知られていますが、実際にはみぞおちなど上腹部の痛みとして訴えることも多いのです。
また、心筋梗塞と同様、働き盛りの人の突然死の原因になるのが大動脈解離(解離性大動脈瘤)。心臓から血液を全身に送り出す太い血管である大動脈は、外膜、中膜、内膜の3層構造となっています。大動脈解離は、なんらかの原因で内膜に裂け目ができ、その外側の中膜との間に血液が入り込んで大動脈が縦に裂け、突然、胸や背中にくいが刺さるような激痛が起こり、病状の進展につれて痛みが胸から腹部へ、さらに脚へと移っていくのが特徴です。この病気も、最初に腹部の激しい痛みを訴えることが少なくありません。
鈴木さんは「心筋梗塞も大動脈解離も、発症後いかに早く設備の整った大病院で治療を受けるかが命を救うカギになる」と言います。腹部に突然、がまんできないほどの激しい痛みを感じたら、できるだけ早く救急車を呼ぶなどの対応をとることが大切なのです。
こんなときはできるだけ早く病院に行くか救急車を手配!
・突然、上腹部にがまんできないような痛みが30分以上続く
・背中、胸部など他の部分の痛みを伴う
・発熱、強い吐き気、額に脂汗、意識障害などを伴う
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年9月25日付記事を再構成]
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