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「空飛ぶクルマで聖火ともす」 2020若き技術者の夢 カーティベーター代表の中村翼さん

2018/10/9 日本経済新聞 朝刊

仕事がない休日などに有志で集まった。空飛ぶクルマはプロペラを備えたドローン(無人小型機)の原理を応用。16年に1人乗りの機体を作り、空に浮かべる実験に成功した。現在は「スカイドライブ」の開発を急ピッチで進めている。

カーティベーターの空飛ぶクルマはプロペラで浮かんで前に進む

自動車メーカーでの本業で空飛ぶクルマの実現を目指したが、提案した企画が通らず、独立を考えたことがある。知人の紹介で面会した役員に退社の意思を伝えたところ「技術力が成熟していない。独立はまだ早い」と反対され、在籍したまま研究することになった。

その代わりに量産車の部門から外れ、空飛ぶクルマの研究にフルタイムで打ち込める環境をもらえた。在籍した企業の共同研究相手である慶応義塾大学で17年4月から研究員となり「空飛ぶクルマと社会の関係性」をテーマに研究を始めた。

カーティベーターは同年5月、トヨタ自動車グループ15社から計4250万円の出資を受けた。その後、パナソニックやNECなども出資に参加した。現在、自動車や広告代理店などで働く100人超が参加する。

空飛ぶクルマは国内外で開発競争が激しくなってきている。会社の休日などに取り組むだけでは競争に勝てないとの危機感から、今年4月、慶大の研究員に専念することにした。現在、慶大とカーティベーターでの研究活動に集中している。

当面の目標は「東京五輪の聖火台に空飛ぶクルマで火をともすこと」。まだ人を乗せて走れないが、11月に無人の飛行試験を実施し、来年の春頃に初の有人試験を始める計画だ。「五輪で採用してもらうには19年4月に技術のメドをたてる必要がある」。23年をメドに一般向けの販売も始めたい考えだ。

「自分で思っているだけではなにも始まらない」と自発性が重要だと説く。空飛ぶクルマに取り組んで6年半の歳月が過ぎたが、夢へのこだわりは強くなるばかりだ。

(中島沙由香)

中村翼
1984年東京都生まれ。2009年に慶応義塾大学大学院を修了し、大手自動車メーカーに入社。ビジネスコンテストでの優勝をきっかけに12年にカーティベーターを設立した。17年4月から慶大研究員を兼務し、空飛ぶクルマを研究。18年4月から慶大研究員に専念。

[日本経済新聞朝刊2018年10月1日付を再構成]

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