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「減額」だけではない 年金繰り上げの落とし穴

2018/10/6

繰り上げ受給は基礎年金でも厚生年金でもできるが、1カ月繰り上げるごとに0.5%減額される

老後の最大の支えである公的年金は65歳からの受給が原則だが、受給開始を最大60歳へ繰り上げることも最大70歳へ繰り下げることもできる。現状では繰り下げより繰り上げを選ぶ人の方が多い。繰り上げは早くもらう代わりに一生金額が減額されるが、実は他にもデメリットは多い。

■「繰り上げ」は「繰り下げ」の3倍

繰り上げ受給は国民全員が対象の基礎年金でも、会社員などへの上積みである厚生年金でもできる。ただし1カ月繰り上げるごとに0.5%減額されるので、60歳まで60カ月繰り上げれば30%減だ。それが一生続くため、76歳8カ月で本来の65歳受給と累計受給額が並び、それ以降は抜かれる(表A)。

基礎年金の新規受給者の繰り上げ比率は2010年度には3割弱もあった。年金記録問題や破綻説の広がりなどで、早くもらおうとした人が多かった。16年度は9%に下がったが繰り下げ(3%)の3倍だ(グラフB)。社会保険労務士の相川裕里子氏は「デメリットを十分に知らないまま選んでいる人も多い」と話す。

■障害年金にも影響

例えば繰り上げ後に夫が亡くなるケース。60代前半は自分の年金と遺族年金は併給できずどちらかを選ぶ。通常は額が大きい遺族年金を選ぶので、繰り上げた自分の年金はもらえなくなる。65歳以降は併給できるが、自分の年金は65歳以降も減額されたままの年金が続いてしまう。

10年以上保険料を払った第1号被保険者(自営業者など)が老齢年金をもらう前に亡くなった場合に、妻が60代前半に受け取れる寡婦年金。額は夫が本来もらえたはずの老齢基礎年金の4分の3だが、これももらえなくなる。

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