店でお客と「脳内対話」 サントリー流マーケティング
サントリースピリッツRTD部長 佐藤晃世氏
サントリースピリッツRTD部長の佐藤晃世氏
サントリーは、テレビCMなどのマーケティング戦略で消費者をつかむのがうまい企業だ。国内のアルコール飲料全体の売り上げが縮小傾向にあるなか、缶入りのチューハイやカクテルなど、開けてすぐ飲めるRTD(レディー・トゥ・ドリンク)市場は拡大している。缶チューハイ「ほろよい」や「マイナス196℃」などのヒット商品を持つサントリースピリッツの佐藤晃世RTD部長にブランド戦略や消費者との向き合い方を聞いた。
商品・ブランド育成、チームのまとめ役
――RTD市場をどう見ていますか。
「この30年から40年の消費者の酒の好みの変化に対応して生まれた商品群で、最近数年間は2桁近く伸び続けている元気のあるカテゴリーです。当社ではアルコール度数が9%以下の低アルコール飲料と位置づけています。RTDは自由度が高く、ベースとなる酒は何でもいいし、合わせるソフトドリンクも自由に選べます。どんな商品にも挑戦できる自由さがありますが、歴史がないので手探りの面もあります。マーケティング戦略が売れ行きに大きく関わってくるので、仕事としても魅力的です」
――マーケティングは誰がどのように行うのですか。
「私のいるRTD部がいわゆるマーケティング部門です。商品開発やブランドの育成は、開発から販売までの関連部署の担当者がチームをつくって取り組むので、その調整をしながら方向性を決めていくのが最大の役割です」
「RTD部員は消費者のアタマの中のイメージをうまくつかんで商品化につなげ、ブランドを強くしていくのが役割です。一人ひとりが担当する商品やブランドを持っていて、各部門と協力して商品とブランドを育てていきます。その目標に向けて調査したり、調整したりするのです」
チューハイの度数、居酒屋で計測
――商品開発はどのように進めるのですか。
「まず、開発や宣伝部、営業担当など関連部署の担当者が集まり、ブレーンストーミングをします。ここでは具体的な商品についてより、ターゲットとなる消費者がどう変化しているのかという根本的な話をします」