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次世代リーダーの転職学

会社の看板もう利かない 「自分ブランド」築く出世術 エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

2018/10/5

「自分ブランド」というと社外向けに発信すべきものというイメージが強いかと思いますが、まずは「社内」で認知されることを目指すといいでしょう。

そして、自分ブランドを認知させるのは、必ずしも担当業務に関連していることでなくても構いません。私のリクルート時代の部下だったある男性の例をご紹介しましょう。彼は営業成績の面ではそれほど目立つ存在ではありませんでしたが、一目置かれる特技を持っていました。「映像編集」のスキルです。

彼は歓送迎会やキックオフイベントの会場で流すメモリアル映像、メッセージ映像の制作を買って出て、それは見事な映像をつくり上げました。写真や動画の編集、BGMの選定や挿入タイミングなど、抜群のセンスを発揮。これが評判となり、他部署からも映像制作の依頼を受けるようになりました。

業務とは直接関係ない特技が自分ブランドを後押ししてくれることも。写真はイメージ=PIXTA

「映像制作といえば〇〇君」という認知が社内で広がったことにより、彼は後にウェブコンテンツの制作を手がける部署から声がかかって異動に。その部署で経験を積んだ後、ウェブ専門会社に転職していきました。彼もまた「自分ブランド」を発信したことで、適性のある分野でのキャリア構築に成功したといえるでしょう。

「自分ブランド」を社内で発展させ、起業へつなげた人もいます。DIK & Company代表の中田元樹さんは、以前、日本IBMに勤務し、日々エクセルを使ったデータ作成・管理・分析に従事していました。彼は一般には知られていないエクセルの機能を研究し、組み合わせて使いこなす技を編み出し、通常の20倍速いスピードでの処理スキルを習得。「社内一のエクセルの使い手」との呼び声が高まり、他部署からも「エクセルの使い方の講習会を開いてほしい」と依頼を受けるようになったのです。

その後、NTTデータ経営研究所で業務改革コンサルティングを務めた後、2017年に起業。そのタイミングで到来した「働き方改革」の波に乗り、エクセルを活用した業務効率化、働き方改革の研修に引っ張りだことなっています。彼もまた、面倒がる人が多い「データ処理」の分野を極めたことでブランドを築き、独自のビジネスへと発展させた好例といえます。

■ブランド認知を広げるために、社内人脈をつくる

「自分ブランド」といえる得意領域を持ったら、SNS(交流サイト)などで社外に発信していく手もありますが、やはりてっとり早いのは社内での認知を広げることです。社内のさまざまな部署に評判が行き渡ることで、思いがけずスキルを生かせる仕事を任されたり、プロジェクトに参加したりするチャンスが巡ってくるかもしれません。

では、自分ブランドへの認知をいかにして社内に広げるか。私が実践していたのは、人事部、情報システム部、マーケティング部などとつながりを持ち、彼らに協力することでした。システムのアップデートや制度の見直し、顧客の声のリサーチなど、「現場の人の意見や体験談を聞きたい」といった場面で、「私が協力します」と自ら手を挙げるのです。

こうして私は営業部門に居続けながらも、管理部門スタッフとのネットワークを築きました。あるいは、先輩や上司に「別の部署の皆さんからも学びたいので、どなたか同期の方を紹介してください」とお願いし、さまざまな部署の方とつながりを持ちました。

「人が手をつけない領域を自分の得意分野にする」「人脈を広げ、得意なことを積極的に発信する」。そこから始めることで、将来、「会社の看板」に頼る必要のないキャリアを築いていく「きっかけ」をつかめるはずです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は10月12日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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