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金足農の準優勝は美談ではない 選手守れぬ残酷な戦い ドーム社長・安田秀一 日本版NCAAについて(下)

2018/10/5

春夏連覇を喜ぶ大阪桐蔭ナイン(手前)と、東北勢悲願の優勝を逃した金足農ナイン(8月21日、甲子園球場)=共同

大学スポーツの改革のため、スポーツ庁が米国のNCAA(全米大学体育協会)をモデルにつくろうとしている統括組織「日本版NCAA」に、ドーム社長の安田秀一氏が斬り込みます。前回(「大学スポーツ改革、米国流ほど遠く 学長参加は必須」)では、肝心の大学が蚊帳の外に置かれている問題点を指摘しました。後編では、競技の基本理念である「フェア(公平さ)」についても本家の米国と大きな違いがあることを浮き彫りにします。

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ドーム社長の安田秀一氏

先日、知人が送ってくれた神奈川県の高校同士のアメリカンフットボールの試合の写真を見て唖然(あぜん)としました。試合後に両校の選手が整列しているのですが、部員数がまったく違う。150人対12人だそうです。こんな試合を開催してはいけません。危険であることはいうに及ばず、そもそも「フェア」とはいえません。

今夏の甲子園の高校野球は秋田の公立校である金足農業高校の快進撃で盛り上がりました。決勝は圧倒的な戦力を誇る大阪桐蔭に2―13で屈しました。判官びいきの日本人は大半が金足農を応援していたようです。ただ、僕には金足農を応援している人も、今の高校野球のあり方に肯定的な人も、潜在する意識として「残酷さを楽しんでいる」ように感じています。選手の集め方も、練習施設も、バックアップ体制も、両校はまったく違います。ハンディを持つ側が勝利する番狂わせを面白いという気持ちは分かりますが、僕はこうした残酷なゲームを楽しむ気持ちにはなれません。

■「残酷な戦い」楽しんでいたのでは

例えば金足農のエース、吉田輝星投手は秋田県大会から一人で投げ抜き、甲子園でも準決勝までの5試合を完投。決勝は途中降板しましたが、体力の限界、身体の酷使は誰の目にも明らかでした。熱中症や肩やひじへの負担によるけがといった医学的リスクを、吉田投手本人がどれだけ知っていたでしょうか。おそらく、具体的な知識もなく、投げることに夢中になっていたのでしょう。

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