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現地で買い付けしてきたシルバーの皿にはマカロニ、2種類のパスタ、2種類の豆が入ったご飯、トッピングのフライドオニオンがのり、別皿にはトマトソース

つまり、マーケッターとしての計算もあってのこと。

石高さんが試作するコシャリを柳堀さんが試食し、現地の味に近づけるよう何十回も改良を加えレシピが完成。2016年6月、初期投資が少なくて済むキッチンカー(移動販売車)としてスタートしたが、3カ月ほどで早くも手ごたえを感じ、同年の10月に現在の錦糸町に店舗も構えることになった。

「エジプト人の常連さんもたくさんいて、『現地の味そのままだ』とお墨付きをいただいています」と柳堀さん。

では、実際にコシャリをいただいてみよう。「コシャリ」とは「混ぜる」という意味。ご飯にソースをかけ、さらに「カル」というニンニク入りレモン汁と「シャッタ」という辛味ソースをまわしかけてよく混ぜて食べてみた。

トッピングもいろいろ こちらは女性に人気ナンバーワンのアボカドサワークリームコシャリ

トマトのほどよい酸味と甘み、そして、クミンのスパイシーな香りとフライドオニオンの甘みが口の中で一体となり、なるほど、これはおいしい。

柳堀さんに「カルはたくさんかけたほうがおいしいですよ。エジプト人の常連さんはボトルの3分の1くらいかけます」とアドバイスされ、「追いカル」するとビックリ! 味がまったく違う。さらにおいしくなっている! うわー、これは旅人が店に通って、自分だけの味を見つけたくなっちゃう気持ちもわかるなぁ。

最初は引き気味だった「炭水化物の3乗」も、マカロニは私たちが知っているものよりも短いサイズで、存在を主張しておらず気にならない。「バーミセリ」という細いスパゲティは揚げてあり、マカロニはモチモチとしているので、複雑な食感を生み出し、実に「いい仕事」をしている。

エジプトでよく食べられるモロヘイヤとトマトが入ったモロトマコシャリ ほかにはから揚げ、スパム、温泉卵など動物性のトッピングもあり

コシャリのルーツには2つ説があり、1つは第1次世界大戦中にエジプトに派遣されていたインド兵から広まった料理に、駐留イタリア人がマカロニを加えたというもの。もう1つはコプト教(キリスト教の一種)の修道士が菜食期間に食べていたものから派生したとの説。

そう言われて気がついた。コシャリは動物性食品が入っていないベジタリアンフードなのだ。「ジャンクフードのイメージがありますが、意外とカロリーは低いんです。コメよりもパスタのほうが同じ重量当たりのカロリーが低いのと、当店では現地の製法と違い、砂糖を一切使わずにタマネギだけで甘みを出しているので。脂質も塩分もかなり控えめのヘルシーフードです」とのこと。

「目標はコシャリをラーメンやカレーのように日本の食文化にしたい!」と語る柳堀さん。そうなるかは分からないが、タコライスやタイのガパオライス(肉とハーブをいためたものをご飯にかけたもの)みたいに「カフェめし」の定番の仲間入りくらいはしそうだ。いや、ひょっとしてピラミッドのような不思議なパワーでいつか日本を席巻しちゃうのかも!?

(ライター 柏木珠希)


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