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エジプト版そばめし・コシャリ 現地の人も旅人も夢中

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NIKKEI STYLE

エジプト料理と言われても、何ひとつ思い浮かばない人も多いだろう。だが、エジプトの国民食とも言える「コシャリ」はウマいらしい。今年5月に発売された『ソウルフード探訪 東京で見つけた異国の味』(平凡社)という本で知った。

本書は『ナショナル ジオグラフィック日本版』の『Webナショジオ』に連載されていたコラム「世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅」を単行本化したもの。ライターの中川明紀さんが東京近郊に住む在留外国人に「ソウルフードは何ですか?」と尋ね歩いてまとめた。

先日、著者の中川さんにお会いした際、「ぶっちゃけ、一番おいしかったソウルフードは何ですか?」と聞いてみた。すると、「どれもおいしくて一番を決めるのは難しいのですが、私は小麦粉よりも断然コメ派なので、エジプトのコシャリなんかけっこう好きでしたね」とおっしゃる。

コシャリとはコメにマカロニ、スパゲティ、レンズ豆、ヒヨコ豆を混ぜたものにトマトソースをかけ、さらに揚げたタマネギをトッピングした料理とのこと。「すごくジャンクな食べ物」(中川さん)だそうで、作る人によって味や盛り付けは異なるとか。

焼きそばとチャーハンを合わせた「そばめし」のエジプト版とも言えそうだ。ただ、そばめしとか、お好み焼きをおかずにご飯を食べるとか「炭水化物×炭水化物」の組み合わせに違和感を抱く私は「炭水化物の3乗かいっ!」と引き気味であった。しかし、ウマいと聞いてがぜん興味がわいた。「私はエジプト人が集まる料理教室で食べたのですが、錦糸町に日本で唯一のコシャリ専門店があるらしいですよ」と中川さんから情報をいただき、さっそく足を運んだ。

その店「コシャリ屋コーピー」のオーナーは意外にも日本人であった。本業はインターネット広告代理店を経営する柳堀源太郎さん。いわゆる「IT社長」がいかにしてエジプトのソウルフードの店を開業するに至ったのだろうか。

「学生時代、バックパッカーをしていまして、卒業旅行で2カ月間中東に出かけました。トルコからスタートして最後にエジプトに到着。泊まった宿でほかのバックパッカーと交流するなかで、『エジプトに来たら押さえておかないといけないのはピラミッドにスフィンクス、そしてコシャリだ』と教えられたんです」。

古代エジプトの至宝が展示されるエジプト考古学博物館よりも先に行くべきなのがコシャリ屋だとはツタンカーメンもビックリである。 

「街に行くと日本のラーメン店並みにたくさんのコシャリ屋がありました。あるコシャリ屋に入って食べてみたら、これが強烈にうまかった! 店は屋台のようなものから高級店までいろいろあって、店によって味もぜんぜん違う。エジプト人にはそれぞれ自分の『押しコシャリ屋』があるくらい、奥の深い食べ物だと知りました」。

帰国し、卒業後は大手インターネット広告代理店に就職。ときどき無性にコシャリが食べたくなり、都内にあるエジプト料理店を回るが、現地の味とは違う。どこの店の味も上品で、ジャンクさに欠けていた。

「その後会社を辞めて独立しまして、その1年後くらいに中学の同窓会がありました。そこで再会した同級生が調理師で、自分のお店を持ちたいという話で盛り上がって。2次会と称して行ったサウナの中で『コシャリの店、やらない?』と口説き落としました」。

一方、誘われた方の現店長・石高洸司さんは「コシャリ? ていうか、何それって感じですよね。ですから、まずは都内のエジプト料理店に食べに行きました。それで、初めて食べて『こんなのがあるんだ』って思いました」と笑いながら振り返る。ちなみに店名の「コーピー」は石高さんのニックネーム。

だが、店舗開業は何も「勢い」や、「自分が食べたかったから」という単純な理由からだけではない。

「インターネットの広告代理事業という職業柄、検索ワードや検索結果の順位には敏感です。『コシャリ』というワードが相当数検索され、バックパッカーの間で『コシャリ、食べたいよね』『でも、日本にないよね』というやりとりがされていることは知っていました。だから、ある程度のニーズはあるだろうなとは予測していました」。

つまり、マーケッターとしての計算もあってのこと。

石高さんが試作するコシャリを柳堀さんが試食し、現地の味に近づけるよう何十回も改良を加えレシピが完成。2016年6月、初期投資が少なくて済むキッチンカー(移動販売車)としてスタートしたが、3カ月ほどで早くも手ごたえを感じ、同年の10月に現在の錦糸町に店舗も構えることになった。

「エジプト人の常連さんもたくさんいて、『現地の味そのままだ』とお墨付きをいただいています」と柳堀さん。

では、実際にコシャリをいただいてみよう。「コシャリ」とは「混ぜる」という意味。ご飯にソースをかけ、さらに「カル」というニンニク入りレモン汁と「シャッタ」という辛味ソースをまわしかけてよく混ぜて食べてみた。

トマトのほどよい酸味と甘み、そして、クミンのスパイシーな香りとフライドオニオンの甘みが口の中で一体となり、なるほど、これはおいしい。

柳堀さんに「カルはたくさんかけたほうがおいしいですよ。エジプト人の常連さんはボトルの3分の1くらいかけます」とアドバイスされ、「追いカル」するとビックリ! 味がまったく違う。さらにおいしくなっている! うわー、これは旅人が店に通って、自分だけの味を見つけたくなっちゃう気持ちもわかるなぁ。

最初は引き気味だった「炭水化物の3乗」も、マカロニは私たちが知っているものよりも短いサイズで、存在を主張しておらず気にならない。「バーミセリ」という細いスパゲティは揚げてあり、マカロニはモチモチとしているので、複雑な食感を生み出し、実に「いい仕事」をしている。

コシャリのルーツには2つ説があり、1つは第1次世界大戦中にエジプトに派遣されていたインド兵から広まった料理に、駐留イタリア人がマカロニを加えたというもの。もう1つはコプト教(キリスト教の一種)の修道士が菜食期間に食べていたものから派生したとの説。

そう言われて気がついた。コシャリは動物性食品が入っていないベジタリアンフードなのだ。「ジャンクフードのイメージがありますが、意外とカロリーは低いんです。コメよりもパスタのほうが同じ重量当たりのカロリーが低いのと、当店では現地の製法と違い、砂糖を一切使わずにタマネギだけで甘みを出しているので。脂質も塩分もかなり控えめのヘルシーフードです」とのこと。

「目標はコシャリをラーメンやカレーのように日本の食文化にしたい!」と語る柳堀さん。そうなるかは分からないが、タコライスやタイのガパオライス(肉とハーブをいためたものをご飯にかけたもの)みたいに「カフェめし」の定番の仲間入りくらいはしそうだ。いや、ひょっとしてピラミッドのような不思議なパワーでいつか日本を席巻しちゃうのかも!?

(ライター 柏木珠希)

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