でも、そんな自由放任主義のおかげで、私にとっては、最高の高校生活でした。あえて言うなら「愛すべきどうしようもない学校」。それが私にとっての市川高校でした。

ただ、これはあくまで私がいたころの話です。その後、共学になったこともあり、現在の校風はよくわかりません。

何年か前に、卒業生に話を聞くという企画で呼ばれ、久しぶりに母校を訪れて後輩たちの前で話をする機会がありました。

校舎も新しくなり、生徒たちの目はキラキラ輝いていて、みんな行儀よく私の話を聞き、私がいたころの市川学園とはまったく違う雰囲気になっていました。その中にいたら、一瞬、自分のアイデンティティーを喪失したような気持ちになりました(笑)。

小論文のゼミが印象的だった。

高校では特進クラスでしたが、バンド活動に忙しく、勉強はあまりしませんでした。ですから、記憶に残っている授業はほとんどありません。

そうした中、今でも思い出す授業が一つだけあります。守脇先生という地理の先生が指導してくれた、大学受験対策用の小論文ゼミでした。

いろいろな本を読んで、それを基に小論文を書き、授業中みんなで議論し、その議論を踏まえて書き直す、ということを繰り返す授業でしたが、これが非常に面白かった。

テーマは幅広く、例えば、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を読み、地球環境問題をどう解決するか論ぜよという課題が出されたりしました。私自身、本を読んだり文章を書いたりするのが好きだったこともありますが、守脇先生は当時の市川高校には珍しく、非常に熱心に教えてくれる先生で、それも授業が面白かった理由だったと思います。

私に対しても「お前はやればできる」と励ましの言葉を掛けてくださり、ますますやる気がわいてきました。学校の勉強は好きではありませんでしたが、こういう考えさせる教育ってとてもいいなと、いつも思っていました。

NPO法人フローレンスは、「指示命令をしない保育」「園児に考えさせる保育」を掲げて活動していますが、その発想のベースには、市川高校の時に受けたこの小論文ゼミの影響があるように思います。

(ライター 猪瀬聖)

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