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ディベート日本一 埼玉の開智学園「探究力」で伸びる 開智中学・高等学校(中高一貫部)の溜剛校長に聞く

2018/9/30

開智中学・高等学校の溜剛校長=開智学園提供

さいたま市にある開智学園が運営する開智中学・高等学校が、首都圏の進学校として存在感をじわりと高めている。1983年設立と歴史は浅いものの、2018年春の東大合格者数は18人(中高一貫部16人、高等部2人)と、埼玉県内では伝統校の県立浦和高校に次ぐ2位となった。躍進を支える教育方針の柱が、名誉学園長を務めるノーベル賞受賞者の大村智氏が唱える「探究力」の育成だ。自ら問題を発見し、仮説を立て、検証する力を身に付けるユニークなカリキュラムについて、中高一貫部の溜(たまる)剛校長に聞いた。

■ノーベル賞の大村智氏が「名付け親」

18年8月、立教大学で開かれた「第23回全国中学・高校ディベート選手権(ディベート甲子園)」。肯定と否定に分かれて討論し、その優劣を競う大会で、開智高校はみごと初優勝を果たした。論題は「日本は国会を一院制にすべきかどうか」。創価高校との決勝戦では、衆議院と参議院の本来の役割や少数意見の尊重、数年前まで続いた「ねじれ」現象の意義などを丁寧に説明。二院制を維持すべきとの立場から、相手の主張を一つ一つ切り崩し、審査員の高い評価を得た。

2018年8月に開かれた「ディベート甲子園」で優勝=開智学園提供

「ディベート部の活躍は、開智学園がめざす人材育成の成果を象徴するものだ」。溜氏はこう指摘する。すなわち、自分自身で問題意識を持ち、最後まで考え抜き、多くの人と共有し、共に行動できる人材を指す。そもそもディベート部を創設したのも、生徒の発案から。5年前に同好会からスタートし、生徒総会での承認手続きを経て部に昇格した。学校が設立を認めるのではなく、あくまでも生徒主導で決めさせたのは「後になって学校側の都合でやめさせることができないようにするため」(溜氏)。生徒の自主性を最大限尊重しようという狙いだ。

同校はもともと、埼玉第一高校として設立したが、97年に開智中学校(99年から高校との一貫体制に)を併設。99年には埼玉第一高校が開智高校(高等部)に改称し、それ以降は開智中学・高校(中高一貫部)と並立する形をとっている。中高一貫部は6年間を3ステージに分けたカリキュラムを実施しているため、高等部と生徒が合流することはない。

探究力の育成に力を入れ始めたのは、開智の名付け親でもある大村智氏を95年に理事として招いてからだ。大村氏は寄生虫による感染症の画期的な治療薬を開発。世界中で多くの人々を病から救った貢献により、15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。身近な土の中にいる微生物への興味から研究を発展させたことや、定時制高校の教師を務めた経験から、身の回りの疑問を自ら探究する力を子供の頃から養う大切さを説いた。

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