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大学スポーツ改革、米国流ほど遠く 学長参加は必須 ドーム社長・安田秀一 日本版NCAAについて(上)

2018/9/28

米国の運動部は学校の正規のプログラムになっている(写真はNCAAカレッジフットボール、9月22日)=AP

米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏の連載コラム。今月のテーマはスポーツ庁が設立を検討している、大学スポーツの統括組織についてです。学生時代にアメリカンフットボールの全日本大学選抜チームの主将を務め、今年春まで母校の法政大でアメフト部の総監督もしていた安田氏の目にはどう映るのでしょうか。

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ドーム社長の安田秀一氏

大学スポーツの改革を目指し、米国のNCAA(全米大学体育協会)をモデルにした統括組織「日本版NCAA」の設立準備が進んでいます。スポーツ庁が旗を振る設立準備委員会の初会合(7月24日)には87大学が参加、2019年2月末の法人設立を目指しています。計画が動き始めたことは大きな進歩であり、大変喜ばしいことです。

一方で、現状の進み方に不安も感じています。それは主導するスポーツ庁も、参加表明している各大学も、組織づくりの受け皿となるワーキンググループのメンバーも、ほとんどが本場の実際の仕組みを十分に理解していないことです。

本場のNCAAは、大学のトップ(学長や総長)が参加するメンバーシップによって成り立っています。大学の意志の集合体という表現もできますが、機能するには2つの必要条件があります。(1)大学が運動部を課外活動ではなく学校の正規のプログラムにする(2)トップである学長や総長がNCAAのメンバーとして参画する――この2つです。

例えば、NCAAの幹部(日本でいう理事)にとって、彼らのボス(雇用主)は誰でしょうか。それは参加している各大学の学長です。各大学の学長が平等に1票を持ち、NCAAのプレジデントを登用。プレジデントはすべての大学の利害調整を行いながら、参加大学全体の価値向上の責務を負います。もちろん、雇用主である大学の学長も、民主的に選ばれたNCAAのリーダーの方針に従います。つまり相互に監視し合うガバナンスの関係ができています。

■問われるスポーツ庁の「本気」

一方、日本の学校では部活動は課外活動であり、同時に学校とは全く関係のない競技団体がリーグを運営します。競技団体の理事は学校に支えられているわけではありませんから、授業を無視して平日の試合日程が普通に組まれるなどの問題が発生します。同時に、理事には明確なボスがいるわけでもなく、権力が集中しがちです。

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