増えるディスクブレーキ採用 最新ロードバイク5選
2019年モデル自転車(上)
スポーツサイクル業界では、夏から秋にかけて来期モデルが続々と発表される。そこで今回は、すでに発表が行われたブランドから注目度の高いモデルを選んだ。まずは上編としてロードバイクから紹介していこう。
ロードバイクの新潮流
ここ数年、ロードバイクを取り巻くトレンドは大きく2つある。ひとつ目はディスクブレーキの採用。ロードバイクでは長らくリムブレーキ(リムと呼ばれる車輪の縁をゴム部品で挟み込むことで減速、停止する方式)が主流となっていたが、5年ほど前からマウンテンバイクと同様、ディスクブレーキを採用するモデルが登場し、いまではエキスパート向けのハイエンドモデルからエントリー向けのモデルに至るまで幅広く普及が進んでいる。
ディスクブレーキはリムブレーキに比べて繊細なコントロールがしやすく、雨天時でも安定した制動力を発揮できるのが大きなメリットである。さらに油圧式のものは少ない握力でも充分な制動力を発揮できるため、手に負担のかかる長い下り坂でもラクに走ることができる。
2つ目は「グラベルバイク」という新しいカテゴリーの成立である。グラベルバイクはその名の通りグラベル(砂利道)も走れるよう設計されたロードバイクのこと。100キロを超えるような長距離走行にも対応するため、ドロップハンドルを採用するのはロードバイクと同じだが、上半身が直立気味のアップライトなポジションや太めのタイヤ、ディスクブレーキ、低中速重視のギア比、キャリアを取り付けるための台座を装備することで汎用性を向上させているのが大きな違いだ。分かりやすくいえば、ロードバイクに少しだけマウンテンバイクのエッセンスを加えたような自転車である。
登場当初はマニアックな存在だったが、これ一台で通勤からトレーニング、山道を含むツーリングまで様々な用途に対応できることから少しずつ人気が広がり、現在では各社が新型車を投入するひとつのカテゴリーとして定着した。
これらのトレンドを踏まえつつ、2019年注目のロードバイク5台をピックアップしてみた。
パワーメーターを標準装備、一番の注目モデル
フレーム:フルカーボン
フォーク:カーボン(コラム部はアルミ)
ドライブトレーン(*注):シマノ・アルテグラ 2×11速
タイヤサイズ:700×25C
フレームサイズ:42.5、44.5、47、50センチ
カラー:カーボン
車体重量:7.8キロ(44.5センチサイズ)
30万円を切る価格ながら、ハイエンドモデル譲りの軽量かつ高剛性なカーボンフレームにレースグレードのコンポーネント(変速機やクランク、ブレーキといった主要部品の総称)、シマノ・アルテグラを組み合わせ、そしてなんと新たに自社開発したパワーメーター「POWER PRO」を標準装備する19年屈指の注目モデル。
パワーメーターとは、ライダーの出力(こぐ力)を計測して、サイクルコンピューターに表示・記録できる機器である。脚力を数値化することでより高効率なトレーニングが可能になるため、上級ライダーを中心にユーザーが増えてきている。
一般的にパワーメーターは単品でも10万円以上する高価なパーツだが、このモデルはより多くのサイクリストにパワーメーターを普及させるべく、ほぼ同スペックの「TCRアドバンスド 1 KOM」からわずか2万5000円高という驚くべき価格設定となっている。
*注:走行性能に影響力の大きい変速機(ディレーラー)やクランク、チェーンなどの駆動系部品を総称したもの。
ディスクブレーキ採用でさらに魅力アップ
フレーム:アルミ
フォーク:フルカーボン
ドライブトレーン:シマノ 105 2×11速
タイヤサイズ:700×26C
フレームサイズ:49、52、54、56、58、61センチ
カラー:グロスブラッシュ/ナイスブルー、サテンブラック/リフレクティブライトシルバー/クリーン(12月入荷予定)
車体重量:非公開
アレースプリントは「ダルージオスマートウェルド」と呼ばれる独自の溶接方法を用いることで比較的手ごろな価格ながらカーボンフレームに迫る高性能を実現した人気モデル。19年からは油圧ディスクブレーキ仕様が追加され、さらに商品力がアップした。
もともとは平たん路でのハイスピード走行を得意とするモデルだったが、ディスクブレーキの採用により、ストップ&ゴーの多い市街地や長い下り坂、雨天といった幅広いシチュエーションで快適に走れるようになった。
これ一台で通勤から冒険まで
フレーム:アルミ
フォーク:フルカーボン
ドライブトレーン:シマノ・ソラ 2×9速
タイヤサイズ:700 ×40C
フレームサイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:バルカングリーン
車体重量:非公開
キャノンデールが19年モデルより展開するグラベルバイクの新シリーズがトップストーン。ここで紹介するトップストーン ソラはその中でももっとも廉価なモデルだが、同社が得意とするアルミフレームにフルカーボンフォークを組み合わせるぜいたくな仕様。
安定性を重視したポジション設定に加え、エアボリュームの大きい40ミリ幅のタイヤを装着することで、未舗装路での優れたグリップ力と走破性、耐パンク性を実現している。
またフレームにはボトルケージ(ドリンクのボトルを差し込めるカゴ)を取り付けるための台座が3カ所(2カ所が一般的)に設けられているなど、アドベンチャー仕様へのカスタマイズも用意に行える。10月下旬発売予定。
高性能なカーボンフレームを20万円以下で手に入れる
フレーム:フルカーボン
フォーク:フルカーボン
ドライブトレーン:シマノ 105(mix) 2×11速
タイヤサイズ:700 ×25C
フレームサイズ:47、50、52、54、56センチ
カラー:バーレーンメリダチームカラー、ブラック/ネオンイエロー
車体重量:8.2キロ(50センチサイズ)
フルカーボンフレームはアルミフレームに比べ、軽量で剛性が高く、振動減衰特性に優れている一方、高価なのがネックである。スポーツサイクルメーカーとして近年急速に存在感を増している台湾のメリダが発売するスクルトゥーラ4000はカーボンフレームにフルカーボンフォークを採用しながら20万円を切るお値打ちモデルだ。
組み合わせられるドライブトレーンも上級グレードと同じリア11速仕様のシマノ 105をメインにするなど手抜きはなし。ハンドルバーやシートポスト、ホイールなどといったパーツに自社ブランドのものを使うことでうまくコストを下げている。
リラックスしたポジションをとれる設計となっており、どちらかといえばレースのようにガンガン走るというより、ロングライドやツーリングに向いた仕様だ。
美しさも追及した新世代のアルミフレーム
フレーム:アルミ
フォーク:フルカーボン
ドライブトレーン:シマノ 105 2×11速
タイヤサイズ:700x 25C
フレームサイズ:47、50、52、54、56、58、60センチ
カラー:パープルフリップ、マットグラベル/グロスクイックシルバー
車体重量:8.75キロ(56センチサイズ)
カーボンフレームに匹敵するパフォーマンスを誇るアルミロードバイクとして人気の「ALR」シリーズがフルモデルチェンジ。高度な素材と製造技術により、アルミフレームの弱点とされる硬い乗り味を解消し、カーボンフレームのような一体感のあるフォルムと軽量性を実現しているところがポイント。
ドライブトレーンはクランクに至るまで信頼性の高いシマノ 105で統一。初心者から中級ライダーまで満足できる基本性能が備わっている。ブレーキには、フレームに直接取り付けることで制動力とタッチを向上させたダイレクトマウントブレーキを採用する。眺める角度によって色味が変化するパープルフリップという凝ったカラーを用意した。
明日公開の下編ではロードバイク以外の19年注目モデルを紹介する。
(ライター 佐藤旅宇)
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