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注射で治す腰の椎間板ヘルニア 傷跡残らず日帰り可能

日経ヘルス

2018/10/1

写真はイメージ=PIXTA
日経ヘルス

 腰の椎間板ヘルニアの注射による治療が健康保険で可能になった。これまでの消炎鎮痛剤やブロック麻酔で痛みやしびれを取る方法や、椎間板から押し出されて神経を圧迫している部分を切除する手術に次ぐ治療法として注目されている。「注射による治療は体への負担がとても小さく、医療費も安い」と、この注射薬の治験にも加わった稲波脊椎・関節病院理事長・院長の稲波弘彦さんはこう評価する。

(図版:三弓素青)

 椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある“クッション”の役目を果たしている椎間板から、その中にある髄核が飛び出した状態を指す。近くにある神経が圧迫され炎症を起こすと、痛みやしびれが表れる。

 注射薬「ヘルニコア」の有効成分コンドリアーゼは、髄核内の保水成分であるたんぱく質の一種「プロテオグリカン」を分解する酵素。髄核に適量を注射すると、水分による膨らみを和らげる特徴がある。その結果、神経への圧迫も軽くなり、症状が改善する。分解は一時的なもので、椎間板や椎骨の安定性への影響は認められていない。

 腰の椎間板ヘルニアの手術は、全身麻酔で行われ、内視鏡を用いた場合でも2cm弱の傷が残り、数日の入院が必要だ。だが、X線で確認しながら椎間板内にヘルニコアを注入する治療では、皮膚を切開した跡は残らず、入院期間も1日程度で、場合によっては、日帰りも可能とされる。

 163人の腰の椎間板ヘルニア患者を対象とした臨床試験では、投与後13週後の最も脚や足先が痛いときのスコアが、ヘルニコアを投与した群はプラセボ(偽薬)を投与した群に比べて低くなるという結果が出た。「体に傷をつけたくない、1日でも治療にかかる日数を減らしたい患者に、選択肢を増やすことになるだろう」(稲波さん)。

 ただし、アレルギー体質の人は注射薬によってアナフィラキシーと呼ばれるショック症状を起こす可能性がある。そのため、アレルギー検査や問診を受けなければならない。ヘルニコアによる治療ができる医療機関の条件が定められているので、日本脊椎脊髄病学会のホームページで確認しよう。

 現在は腰の椎間板ヘルニアのみだが、症例が積み上がり、首や背中の椎間板ヘルニアにも広がっていくのではないかと期待されている。

稲波弘彦さん
 稲波脊椎・関節病院(東京都品川区)理事長・院長。1979年東京大学医学部卒業。同大学整形外科学教室に入局し、三井記念病院などを経て、岩井整形外科内科病院の院長に。2015年、稲波脊椎・関節病院をオープン。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の内視鏡治療に取り組む。日本脊椎脊髄病学会指導医。

(ライター 井上俊明)

[日経ヘルス2018年10月号の記事を再構成]

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