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野球変えるビッグデータ ボール回転・走塁スピードも ソフトバンクホークス、AI導入も視野

2018/10/1 日経産業新聞

 日本のプロ野球球団で最もIT化が進んでいるといわれるホークスがタッグを組むのはスポーツコンサルティング会社、ライブリッツだ。ITコンサルのフューチャー傘下で、ホークスとは14年から提携している。

 「選手や監督、コーチ、フロントまで様々な立場の人が必要とする情報を分析することができる」とライブリッツの村沢清彰社長は話す。同社がコンサルを手掛ける球団は17年シーズンまでの5年間で4度の日本一に輝いた。好成績は観客動員にもつながる。ソフトバンクは15年、17年の入場者数が250万人を超え、18年も高水準で推移している。

 ライブリッツの狙いは「リアルタイムなデータ共有から(あらゆるモノがネットにつながる)IoT、最終的には戦術にも活用できる人工知能(AI)などITでスポーツを進化させる」(村沢社長)こと。ホークスは球場のIoT化を急速に進めるが、その先は「AIの研究もやっていかなくてはならない」(ホークスの三笠杉彦球団統括本部長)。

 現在、ホークスでは選手からの疑問に対し、アナリストがスコアラーと協力してデータからアイデアを導き出している。アナリストを務める関本塁データ分析担当ディレクターはジャージー姿でグラウンドに立ち、選手とのコミュニケーションを通じて現場の感覚を得ている。こうした感覚に加え、将来はビッグデータの中から特徴を見つけ出すAIの活用などを視野に入れる。

■プレーの質高めて魅力アップ

 06年に始まった野球の世界大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を2大会連続で制するなど日本のお家芸ともいえる野球。国内のプロスポーツでは断トツの集客力を誇るが、有名選手の米大リーグへの流出や子どもの野球人口の減少など、将来を見据えると不安要素も多い。

 政府はスポーツ産業の市場規模を東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に現在の約2倍の10兆円に、25年には15兆円に伸ばす目標を掲げる。達成のためには、国内最大のプロスポーツである野球の盛り上がりは欠かせない。東京五輪でも3大会ぶりに野球競技が実施される。大リーグや他のスポーツに負けないよう魅力を高めるには、野球のプレーの質そのものの向上が王道だ。

 90年代にはデータを駆使した「ID野球」がもてはやされたが、IoTの普及で膨大な量のデータが取得できるようになり、AIでその膨大なデータを即座に分析できるようになった。イノベーション(技術革新)を野球の質向上に生かさない手はない。

 ITなど最先端の技術は選手のパフォーマンスを向上させるだけではない。20年に実用化される次世代通信規格「5G」を使えば、これまでにないスポーツ映像が家にいながらにして見られるようになる。パナソニックがスタジアムで効果的な演出ができる機器やシステムの販売に力を入れるなど関連産業への波及効果も期待できそうだ。

(杜師康佑)

[日経産業新聞2018年9月19日付を再構成]

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