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結婚や子育て、人生100年時代の生き方など、働く女性・男性へのメッセージが詰まっている

結婚や子育て、人生100年時代の生き方など、働く女性・男性へのメッセージが詰まっている

2016年に女性活躍推進法が完全施行され、女性が働く環境は改善されつつある。一方、東京医科大学による女子受験生の得点操作問題で明らかになったように、女性の活躍を阻む壁は、なお多いようだ。今回の書籍「ブレイクダウン・ザ・ウォール 環境、組織、年齢の壁を破る」は、1960年代から日本にファッションビジネスを根付かせ、広めようと奮闘してきた著者による「壁破り戦記」。目標を掲げ、自分らしいキャリアを築く生き方を説く一冊だ。

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尾原蓉子氏

尾原蓉子氏

著者の尾原蓉子さんは、ファッション関連分野で働く女性の活躍を後押しする一般社団法人「ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション」の創設者で、名誉会長を務めています。62年に東京大学を卒業し、旭化成工業(現旭化成)に入社。その後、米国のニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)に留学したほか、米ハーバード・ビジネス・スクールの経営者向けコース(AMP)も修了。財団法人ファッション産業人材育成機構が運営するIFIビジネススクールの学長などを務めました。著書に「グローバリゼーションとデジタル革命から読み解く―Fashion Business 創造する未来」(繊研新聞社)などがあります。

始める前に諦めない キャリアの築き方

著者が東大を出た62年当時、4年制大学卒の女性を求める会社は、ほとんどありませんでした。進路の選択肢は公務員のほか、医師や弁護士などの専門職など非常に限られたものだったのです。著者は「衣食住を扱う民間企業であれば、女性であることがマイナスとなる度合いは低いのではないか」と考え、アポなしで数社を訪問。縁あって旭化成に入ることになりました。

初めての四大卒女性として働き始めたものの、やはり壁もありました。給料は大卒の男性と高卒の男性の間をとった額とされ、昇格や昇級も同期の男性に置いていかれる一方です。こうした状況で自分のキャリアを築いていくには専門性を身につけるしかないと考えた著者は、会社に内緒でフルブライト奨学生の試験を受け、合格しました。

 私は早速、直属の上司だった係長に、「退職して勉強してきます」と告げに行きました。すると、「そのうち留学させてやると言ったじゃないか」と係長はお怒りのご様子。けれど、その上長に当たる課長が、「何も辞めていかなくてもいいではないか。籍だけ置いていけばいい」ととりなして、休職扱いにしてくれました。(中略)
 有能な部下にいい仕事をさせるのは、自分に与えられた責任や成果であり、部下にも自分にもいいことだと考えて、人を育てようとする。旭化成の社内には、そういう度量の人が大勢いました。
(第1章 未来は自分でつくるもの 56ページ)

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