インスタに長時間動画の新サービス 使用感はテレビ風

IGTVの画面を開くと、動画が自動的に再生される。上部にスワイプすると「おすすめ」「フォロー中」「人気」「視聴を再開」のタブが表示される
IGTVの画面を開くと、動画が自動的に再生される。上部にスワイプすると「おすすめ」「フォロー中」「人気」「視聴を再開」のタブが表示される

現在、動画投稿サイトの代表格はYouTubeだろう。個人の旅行記から趣味関係、時事解説まで様々な動画があふれている。ここに今夏、インスタグラムがIGTVという新サービスで参入した。ユーザーのし好に寄り添った新機能も加わっている。世界的な広がりを持つサービス同士の闘いで、YouTubeの優位は覆るのだろうか。

最大60分の投稿が可能に

この6月、SNS(交流サイト)のインスタグラムに新たな動画機能「IGTV(アイジーティービー)」が追加された。これまでインスタグラムでは、フィード上で最大60秒、2016年に導入された機能「インスタグラムストーリーズ」では最大15秒の動画をアップロードできた。これに対し、IGTVは最大60分の動画が投稿可能だ。

アジア太平洋地域のパートナーシップス部門統括として、出版・音楽業界との連携強化を狙うジヒ・ナム氏

IGTV導入の狙いについて、インスタグラムでアジア太平洋地域のパートナーシップス部門を統括するジヒ・ナム氏は次のように説明する。「現在、インスタグラムには全世界で1日平均8000万件の動画が投稿されている。動画ニーズは高まっており、『1分では足りない』『よりクリエーティブな表現をしたい』との利用者の声に応えることにした」

IGTVの大きな特徴は、フォーマットが縦型であることだ。「今の時代、スマートフォンで動画を見るのが主流。スマートフォンを利用する時間のうち、90%は縦に持つというデータがある。見る人にとって、縦型動画が自然だ」(ナム氏)

またIGTVを立ち上げると、すぐに「おすすめ」のタブに表示される動画が流れ、画面下の表示を左右にスワイプすると、動画が切り替わる。使用感はテレビに近いものがある。

さらにナム氏は説明を続ける。「利用者のインスタグラムのフォロー先の傾向がIGTVに反映される。例えば、私は犬や建築物を多く投稿する人をフォローしているので、そういった動画がおすすめとして上がって来る」。他サービスのように不特定多数の人がいいと感じたものだけが広がるのではなく、自分の興味のあるコミュニティーに関係する動画に出合うことができるわけだ。

YouTube対抗馬浮上も

動画配信サービスといえば、現在はYouTubeが代表的な地位を築いているが、IGTVは対抗馬となるのだろうか。実情をみると、月間アクティブアカウント数が全世界で10億を突破したインスタグラムの新たな動画機能への関心度は高く、すでに多くの企業やアーティストが利用し始めている。

動画メディアを拠点に様々なコンテンツを発信するlute(ルーテ)もその一つ。IGTVのサービス開始直後である6月28日には、ドラマ「それでも告白するみどりちゃん」をIGTVにあげてアーカイブ化し、7月6日からはIGTV向けの撮り下ろしバラエティー番組「ぼく脳 I am brain.」の配信をスタートした。

luteがIGTVで展開するドラマ「それでも告白するみどりちゃん」の1シーン。
luteがIGTVで展開するコンテンツ「ぼく脳」

luteメディアチーム編集長の年吉聡太氏は、「YouTubeが興味のある動画を検索する能動的なアクションで成り立つ場だとすれば、IGTVは興味があるかもしれない動画が生活のなかに溶け込むように入ってくる場。ただ、そのように出合ったコンテンツの長さが60分もあったとして、最後まで見られるかは未知数。いろいろな動画を出してどれがフィットするのか、試している」と説明した。

まだ正確な分析はできていないというが、年吉氏は「luteがIGTVに投稿した動画は、最後まで見られる割合が高い傾向がある」という感想を抱いている。

芸能人や企業がIGTVに投稿しているコンテンツは、インスタグラムストーリーズやYouTubeからの転載が多いのが現状だ。IGTVの利点を生かす方法論が確立すれば、YouTubeを脅かす動画投稿先に成長する可能性はありそうだ。

(日経エンタテインメント!9月号より再構成)

[日本経済新聞夕刊2018年9月22日付]

エンタメ!連載記事一覧