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早寝・長寝・昼寝 不眠症を招く3つの悪習慣

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

2018年7月21日、人生100年時代のための最新健康・美容情報体感イベント「スマートリィ・エイジングEXPO」(主催・日経ヘルス、日経グッデイ、日経BP総研)が開催された。そこでの講演の中から、睡眠医学の専門家である国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部長の三島和夫さんによる「本当の睡眠術」をお届けする。「短時間でもぐっすり眠れば大丈夫?」「『布団に入ったらバタンキュー』は健康の証ではなかった!」「『睡眠薬を飲み続けると認知症になる』という説は本当か?」など、興味深い話が満載だ。

短時間でもぐっすり眠れば大丈夫?

ナポレオンは1日3時間しか眠らなかったという。誰にとっても1日は24時間しかない。やりたい趣味、やらなければいけない仕事がたっぷりある現代人としては、できるだけ睡眠時間を短くしたいと思うのも当然だろう。しかし、三島さんは「多くの研究が重ねられてきましたが、安全で効果的な短時間睡眠法はないというのが結論です」と話す。

「必要な睡眠時間は個人差が大きく、短い人と長い人では3時間以上違う。それは体質であり、短くする方法はありません。睡眠の質が深ければ時間が短くても満足感があるはず、というのもよくある誤解。睡眠時間を削れば普段よりもむしろ睡眠は深くなりますが、日中のパフォーマンスは落ちるし、糖尿病など生活習慣病のリスクも高くなります」(三島さん)

よく知られているように、眠っている間は深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)が朝までに何回か繰り返される。睡眠時間を短くすれば浅い睡眠だけが削られて深い睡眠の比率は増えるが、健康のためには浅い睡眠も欠かせない。睡眠は深ければいい、という単純なものではないという。

睡眠不足は単に日中の活動をつらくするだけではなく、太りやすくなり、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病のリスクを上げ、認知症やうつ病も発症しやすくなることが分かっている。ところが、現代人は慢性的に睡眠不足になっている人が多い。ベッドに入るとたちまち眠りに落ちる、いわゆるバタンキューは一見健康的に感じられるが、実は睡眠不足の証拠なのだ。「しっかり睡眠が取れている人なら、ベッドに入ってから眠るまでに10~15分くらいかかります」と三島さんは話す。

また、必要な睡眠時間は年を取るほど減っていく。8時間以上眠っているのはせいぜい中学生以下の子どもまでで、大人になればコンスタントに8時間眠るのは難しい。三島さんによると、「70代になれば6時間くらいになるのが普通」だという。若い頃に比べて睡眠時間が減るのは当然なので、あまり気にしないようにしよう。

"寝だめ"が健康に悪い理由

何時であろうとベッドに入ればすぐに眠れるというのはよほど睡眠不足の人。普通、夜の8時や9時にそうそう眠れるものではない。翌日は出張なので2時間早くベッドに入ったのに目が冴えて全然眠れなかった、といった経験を持つ人も多いだろう。

それは体内時計があるからだ。そのため、私たちは毎日ほぼ一定の時間に眠くなり、一定の時間に目が覚める。「体内時計の時刻にも6時間くらいの個人差があり、もともと朝早く目が覚める朝型の人もいれば、夜遅くまで起きている夜型の人もいます。夜型の人にとって早起きはつらいし、逆に極端に朝型の人に夜勤はきつい。多くの人は社会生活に合わせて無理をしているわけです」と三島さん。ちなみに約3割の人は夜型に分類されるという。

三島さんたちが作った「睡眠医療プラットフォーム」というサイトにアクセスすると、朝型・夜型、睡眠障害の有無などを簡単にセルフチェックできる。気になる人はぜひ試してみてほしい。

睡眠のリズムに関して、最近話題になっているのが "社会的ジェットラグ"(社会的時差ぼけ)だ。これは、平日と休日の睡眠リズムが大きく変動することによって生じる時差ぼけのこと。平日に睡眠不足が続くため、週末は昼まで眠ってしまう。すると社会的ジェットラグが生じて、ますます早起きがつらくなるだけでなく、「生活習慣病、うつ病などのリスクが高くなることも知られています」と三島さんは指摘する。

具体的に社会的ジェットラグを計算するときは、睡眠時間帯の中間となる睡眠中央値に注目する。例えば平日に午前0時に寝て午前6時に起きているなら、睡眠中央値は真ん中の午前3時。休日に午前2時から午前10時まで寝ていれば、睡眠中央値は午前6時。この場合、社会的ジェットラグは午前3時から午前6時までの差、すなわち3時間となる。

「時差が3時間ということは、週末ごとにインドと日本を往復しているようなもの。体には想像以上の負担がかかっています」と三島さん。社会的ジェットラグを小さくするには、週末と平日で睡眠のリズムを変えないこと。つまり、平日に睡眠不足をためないことがポイントになる。

午前中に光を目に入れると朝型化する

本来、自分の体内時計に合ったリズムで生活するのが最も自然で健康にいいだろう。しかし極端に社会とずれたリズムで暮らしていては、まともな社会生活が送れなくなってしまう。私たちは体内時計をできるだけ社会に合わせざるを得ない。

体内時計は光によって調整することができる。光の中でも体内時計に作用するのは太陽光やLEDに含まれるブルーライト(青色光)。午前中に光を浴びると体内時計が朝型に、夕方以降に光を浴びると夜型にシフトするという。週末に寝坊すると、社会的ジェットラグに加え、午前中の光を浴びないことも原因で早起きがつらくなるというわけだ。

「朝型にするためには夜間の照明も大切。特にLEDはブルーライトが多いので、ブルーライトを含まない暖色系の光や刺激の少ない間接光にするといいでしょう。逆に必要以上に早く目が覚めてしまうことに悩んでいる高齢者は、午前中に日光を浴びないように注意することです」(三島さん)

体内時計を朝型にするには、朝起きたときに日光を浴びること。顔は横向きではなく、直射日光は避けながら明るい青空に視線を向けよう。「目にしっかり光を入れなければ体内時計に作用しません」と三島さんは注意を促す。

休日も社会的ジェットラグを作らないように、できるだけ普段と同じ時刻に起きて日光を浴びるようにする。眠いようなら昼寝をすればいい。長時間の昼寝は夜間の睡眠に悪影響を及ぼすが、働く世代であれば1時間以内なら影響は少ない。高齢の方は30分以内にする。

不眠症を招く3つの誤った習慣は早寝、長寝、昼寝

睡眠不足や社会的ジェットラグに悩む人が多い現役世代に対して、リタイアしてゆとりができると増えてくるのが不眠症だ。

「不眠症の人は早寝、長寝、昼寝という誤った睡眠習慣を持っている人が多い。この3つをやめないと不眠症は絶対に良くなりません。逆に、この3つをやめるだけで不眠症が治ることも多いんです」(三島さん)

「早寝」とは、眠れそうもない時間に眠ろうとすること。つまり、夜の8時や9時からベッドに入ってしまうことだ。特に高齢者の場合、疲れを感じやすいので必要以上に早く寝ようとする人が多い。しかし、「70代の人でも一般に午後11時くらいにならないと体が眠る準備は整いません」と三島さん。せっかく早くベッドに入っても、寝つけずに苦しい思いをすることになる。眠気を感じないうちは寝室に行かないようにしよう。

次の「長寝」は早寝にも通じるが、眠れないままベッドの上で長時間過ごすこと。「横になっているだけでも体は休まるというのはウソ。寝床で横になっているのに眠れなくて悶々とする、という経験を繰り返すうちに、寝室に行くと緊張して目が冴えるという条件反応ができてしまい、不眠が悪化するケースが多いのです」と三島さんは話す。眠れなければいったん寝室を出て、リビングルームで読書でもして眠くなるのを待とう。「不眠に悩む人は、寝室以外の場所ではむしろすんなり眠れる傾向があります。これは、『寝ないといけない』という緊張がないからです」(三島さん)。

前にも触れたように、長時間の「昼寝」は夜の睡眠に悪影響を与える。「長い昼寝はその3倍に当たる夜の眠気を取るといわれます」と三島さん。不眠症の人に限って、昼に寝ていることが多い。睡眠不足なら短時間の昼寝はいいが、不眠症の人に昼寝は禁物だ。

「睡眠薬を飲み続けると認知症になる」という説は本当か?

不眠症で診察を受けると睡眠薬を処方されることが多い。ベンゾジアゼピン系という分類に属する睡眠薬を使っていると認知症になりやすくなるという説もあるが、まだ明確な結論は出ていない。ちなみにフランスで70歳以上の高齢者を対象に行われた調査によると、睡眠薬を服用しない人たちは6年後に3.2%が認知症を発症したのに対し、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を服用した人たちは4.8%が発症したという(BMJ. 2012 ;345:e6231)。約1.5倍リスクが高まったことになるが、「それよりも不眠症を放置する方が認知症のリスクはずっと高くなります。必要であれば睡眠薬は使うべき。過剰な心配はいりません。また最近ではベンゾジアゼピン系以外の睡眠薬も登場しています」と三島さんはアドバイスする。

「年齢とともに睡眠時間(実際に眠れる時間)は減少します。日中に不調を感じなければ、睡眠時間は短くても問題ありません。年を取れば夜中に目が覚めることも普通です。『朝までぐっすり8時間眠る』など、高いハードルを作らずに、ほどほどに眠れれば十分、と考えるようにしてください」(三島さん)

(文:伊藤和弘、写真撮影:花井智子、図表作成:増田真一)

三島和夫さん
 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部長。1963年生まれ。秋田大学医学部卒業。同医学部精神科学講座助教授、米スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授などを経て、2006年より現職。日本睡眠学会理事。日本時間生物学会理事。著書に『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、監修書に『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』(日経BP社)など。

[日経Gooday2018年9月4日付記事を再構成]

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