東京五輪・パラリンピックのボランティアを巡る、論客の対談の2回目。「五輪は商業イベントなのに、なぜボランティアは有償にしないのか」と迫る本間龍氏に対し、西川千春氏は「楽しいからボランティアをするのであって有償か無償かは関係ない」と主張する。そんな2人の見方が一致したのが、組織委員会の事なかれ体質だ。
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司会 五輪の組織委について、本間さんから「無責任な運営組織」という指摘(「五輪ボランティアは『喜び』か『搾取』か 論客が激突」)がありましたが、西川さんはどうみていますか。
西川 まず申し上げておきたいのは、私は組織委のボランティア検討委員に就いていますが、組織委の手先ではありません。報酬はなし。やりがい搾取されている感じかもしれません(笑)。
本間さんのお話のなかで、私が気になっているのは大義です。組織委がきちっと説明していないというのは、非常に私も同感なんです。なぜ東京五輪・パラをやるのか、具体的な目標がありません。だから国民は「じゃあやろう」と賛同できない。
実はロンドン五輪は東京五輪のベンチマークになっていて、過去にたくさんの人が日本からロンドンに来ました。私はその人たちを案内したり、講演したり、通訳したりしたのですが、いつもその人たちにこう質問しました。「ところで東京五輪はなぜやるのですか」と。大臣を含めて結構上の方までいらっしゃいましたが、皆さん答えられないんです。
ボランティアは感謝すべき「お客さん」
本間 西川さんが参加されている組織委のボランティア検討委員会。議事録を開示請求しましたが、返ってきたのは黒塗りばかりの「のり弁当」でした。読んでも、さっぱり意味が分かりません。
西川 透明性も、もう少し高めるべきだと思います。黒塗りの部分、見たところ、私の発言もけっこうあるようですね。ボランティアの交通費は支給することになりましたが、その議論も(委員会の)最初はなかなかすんなりいきませんでした。