

熱海銀座商店街は、街歩きの基点としても絶好の場所にあります。商店街からゆるやかに下る坂の先には熱海湾が広がり、熱海海上花火大会の観覧場所にもなる親水公園のスカイデッキから、海水浴で人気のサンビーチへ続く道には、14年にできた熱海の新名所、緑や花々に彩られた美しい散策路「ジャカランダ遊歩道」があります。
逆に、坂を1キロメートルほど上がった先には、国指定天然記念物で樹齢2000年を超える御神木が願いをかなえてくれるという伝説などで人気の「来宮神社」があり、道の途中では街のあちこちで噴き出す熱海七湯の一つ「大湯間欠泉」や熱海温泉を守護する「湯前神社」を見ることもできます。
商店街の裏路地を南に600メートルほど進むと、大正時代に別荘として建てられ、後に旅館となって谷崎潤一郎や太宰治など多くの文豪に愛された「起雲閣」の1000坪の庭園や、歴史的な和洋の建築にも出合えます。
熱海駅ナカの商業施設「ラスカ熱海」や、駅前に広がる「平和通り商店街」「仲見世通り商店街」は、観光客向けの店舗が立ち並び、多くの人であふれ返っています。店頭で湯気を上げるおまんじゅうや練り物など、食べ歩きも楽しいものです。さらに、そこから一本中に入った名もない路地には、よりディープでこだわりを持ったカフェやショップが。ユニークなお店と出合える路地裏も、熱海散策の楽しみの一つです。
温泉の宿もリノベで相次ぎオープン
一方、熱海の温泉はここ2年で10軒のホテルが新たに開業しました。その中には、廃業したホテルや企業の保養所などをリノベした宿も少なくありません。
「大江戸温泉物語」は12年に熱海エリアで1号館をオープンしたのに続き、16年には「ホテル水葉亭」を取得、2号館としてオープンしました。
16年にオープンした「熱海TENSUI」は、企業の保養所だった施設をリノベした、客室わずか19室の和モダンオーベルジュ。18年「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の「日本の小宿10選」にも選ばれた、女性に人気の宿です。
スタンダードでも31平方メートルと客室はゆったり。オーベルジュならではの食事は、お一人様でも快適に過ごせるよう席を配置しています。夕食の創作和食会席は目にも鮮やかで、デザートのクレープシュゼットは席に来て焼き上げてくれます。朝は炊き立ての土鍋ご飯で、純和風の朝食を満喫できます。


湯当たりのやわらかい温泉は、大浴場やジェットバスのほか、岩盤浴も。川のせせらぎが聞こえる中庭のレストランテラスでゆっくりくつろぎ、夕食までの時間は、フリードリンクとオードブルが並ぶレストランのコーナ―で、スパークリングワインや白・赤のワインが自由に楽しめます。
01年に廃業し、長らく廃墟となっていた熱海海岸の前に建つ大型ホテル「つるやホテル」は、中国系企業が買収。19年には総工費約100億円をかけ、全室スイートルームという熱海初の五つ星ホテル「熱海パールスターホテル」の開業が予定されています。
合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。