ミスを犯しても、それを責めるのではなく、「これは皆が学ぶ機会になる」と捉えることが重要だという

上司が一貫した姿勢を持つことが大事

白河 日本の企業では、一定の人だけが話し、多くのメンバーが「まったく発言しない会議」が珍しくないのですが、その原因は心理的安全性が低いということでしょうか?

ディカス ほんの一部の側面だけを切り出して評価するのはちゅうちょしますが、会議の場面で様々な階層の役職の人たちがそれぞれの意見を自由に言える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いと言えるのではないかと思います。

会議ではなくちょっとした雑談に近い会話でも、自分の意見を言った時に「ダメだよ」と頭ごなしに否定されるのではなく、「そうだね」とまずは受け入れた上で批評をもらえるような雰囲気があると、人は安心して自分のアイデアを口にすることができますね。

白河 「自分のチームが生産性が低い、または心理的安全性も低いかもしれない」と気付いたマネジャーには、どんなアドバイスをしますか?

ディカス まず、チームの生産性を左右する要素は様々で、「生産性が低いチームは、心理的安全性も低い」とは限らないということをお伝えしたいと思います。その上で、もしも「チームの生産性が低い原因が心理的安全性の低さにある」と分かったとしたら、いくつか提案できることがあります。それは、私たちが公開している「Google re:Work」(Googleが自社や他企業の働き方の先進事例や研究成果、アイデアを集めたウェブサイト)で紹介しているので、ぜひご覧いただきたいと思います。

行動を起こす上の前提としてぜひご理解いただきたいのは、新しい施策の成果は一夜にしては出ないということです。親友も一夜にして親友にならないのと同じように、組織の文化を変えるのには時間がかかります。

「お互いに学び合いましょう」という姿勢が大事だと思います。ミスを犯しても、それを責めるのではなく、「これは皆が学ぶ機会になる」と捉えられるかどうか。時間はかかりますし、気持ちが焦るあまりについ上司が皆の前で怒鳴ってしまったりと、時には後退することもあるでしょう。一進一退はありますが、上司自身が「文化を変えていこう」という一貫した姿勢を保ち続けることが大事です。

(以下、来週公開の下編に続きます。心理的安全性を高め、チームの生産性を上げる方法を引き続き伺います)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)

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