白河 具体的にどんなチームが心理的安全性が高いと評価されたのでしょうか?

ディカス 心理的安全性とは「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。例えば、誰かがミスをした時に、批判するのではなく、許容し、共に解決に向かえるような、精神的な安心感を持てるチームです。
「なぜそういったミスが生まれるような意思決定に至ったのか?」という理由を皆で考えて、同じミスを起こさないように一緒に成長できるチーム。あるいは、「病気の子どもがいる」「親を介護している」といった個人の事情をオープンに伝え合い、どうしたら無理なく効率的に働けるかを話し合えるようなチームが当てはまります。
白河 ミスが許容されないと、失敗を恐れ誰もがチャレンジしなくなりますからね。しかし、「個人的事情」をオープンにする環境を目指そうとすると、「プライベートな事情に関して、どこまで立ち入ったらいいのか? あまり根掘り葉掘り聞くとパワハラやセクハラになってしまわないか?」と迷うマネジャーもいるのではないでしょうか。
ディカス 確かに、そういった迷いは生まれがちですね(笑)。ただ、人間関係はなんでも同じであって、友人関係を築くのと同じように、仕事でも「どこまで聞いていいかな? 話していいかな?」とお互いに様子を探り合いながら、時間をかけて関係性を構築していくしかないのではと私は思います。
上司と部下の間で信頼感を育てていくには、上司が日ごろからチームの意思決定に至った理由をきちんと説明したり、上司自身が過去に経験したミスをあえて共有したりするのも有効だと思います。
ダメなチームの特徴は?
白河 上司が率先して自己開示し、いかに文化をつくっていくのかが大事なのですね。逆に、ダメなチームの特徴は?
ディカス 実はグーグルが水面下で研究中です……なんて、冗談ですよ(笑)。調査で見えてきた傾向として、分かりやすいのはやはり成績が数値化されやすい営業チームでした。営業部門の中でも、安心感や信頼感が高いチームは、売り上げ目標の2倍の成果を出していました。反対に、安心感や信頼感が著しく欠如しているチームには、目標に対する未達が見られたのです。
白河 この記事を読む方が、自分のチームの心理的安全性のレベルを判断するにはどうすればいいでしょうか?
ディカス 私たちの場合はハーバード大教授の分析メソッドを使って調査をしてきましたが、そのような大掛かりなスコア評価をしなくても、チームメンバーにちょっとした問いかけをするだけでも心理的安全性のチェックをすることは可能です。
例えば、「自分が何か間違いを犯した時に、それをチームの誰かに言える?」「ちょっと未熟だと思われそうな質問でも、手を挙げて発言することができる?」といった質問をして、肯定的な答えが出るかどうかも、一つの目安になるはずです。