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グーグルの職場づくり 心理的安全性がチーム力伸ばす

グーグル キャサリン ディカスさん(上)

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NIKKEI STYLE

グーグルは社員を採用、育成し、定着させるための基盤として「ピープル・アナリティクス」を活用しています。人事に関する慣行、プログラム、プロセスなどをデータに基づいて分析・理解し、それを人事上の問題解決などに役立てるのです。そのピープル・アナリティクスチームが「効果的なチームの条件とは何か」を調べたところ、最も重要な要素が「心理的安全性」でした。シニアマネジャーのキャサリン ディカスさんに伺いました。

チームの生産性に影響する5項目

白河桃子さん(以下敬称略) 最近、企業が働き方改革を推進する中で注目されているキーワードが「心理的安全性」です。グーグルの米国本社が2012年から約4年かけて実施した大規模労働改革プロジェクトや学術機関との共同研究で明らかにした、チームの生産性に深くかかわる要因として、話題になりました。

キャサリン ディカスさん(以下敬称略) 注目していただいて、ありがとうございます。私たちはエンジニアリングから営業まで、グーグルの中のあらゆる分野の200チーム以上を対象として横断的に調査をしてきました。現象を決定づける変数はいくらでもあり、生産性に寄与する原因はいくらでも考えられます。

しかしそれら全てを確認する時間はないので、グーグルとして重視したい項目として、5項目をピックアップしました。「心理的安全性」「相互信頼」「構造と明確さ」「仕事の意味」「インパクト」です。その中でも、最も生産性を高める項目として行き着いたのが「心理的安全性」だったということです。

心理的安全性が高いチームは生産性が高く、低いチームは低いという結果が出ています。

白河 心理的安全性の高いチームは生産性が高いのはなぜですか?

ディカス 心理的安全性が高いチームの方が間違いを認め、協力し合い、新しい業務を担うこともいとわないことが多いため、生産性の向上につながるからです。また、ダイバーシティーを推進する上でも心理的安全性は欠かせません。ダイバーシティーを許容し、リスクをとり、発言を促す文化を築くことで、ダイバーシティーを真に活用できます。

白河 具体的にどんなチームが心理的安全性が高いと評価されたのでしょうか?

ディカス 心理的安全性とは「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。例えば、誰かがミスをした時に、批判するのではなく、許容し、共に解決に向かえるような、精神的な安心感を持てるチームです。

「なぜそういったミスが生まれるような意思決定に至ったのか?」という理由を皆で考えて、同じミスを起こさないように一緒に成長できるチーム。あるいは、「病気の子どもがいる」「親を介護している」といった個人の事情をオープンに伝え合い、どうしたら無理なく効率的に働けるかを話し合えるようなチームが当てはまります。

白河 ミスが許容されないと、失敗を恐れ誰もがチャレンジしなくなりますからね。しかし、「個人的事情」をオープンにする環境を目指そうとすると、「プライベートな事情に関して、どこまで立ち入ったらいいのか? あまり根掘り葉掘り聞くとパワハラやセクハラになってしまわないか?」と迷うマネジャーもいるのではないでしょうか。

ディカス 確かに、そういった迷いは生まれがちですね(笑)。ただ、人間関係はなんでも同じであって、友人関係を築くのと同じように、仕事でも「どこまで聞いていいかな? 話していいかな?」とお互いに様子を探り合いながら、時間をかけて関係性を構築していくしかないのではと私は思います。

上司と部下の間で信頼感を育てていくには、上司が日ごろからチームの意思決定に至った理由をきちんと説明したり、上司自身が過去に経験したミスをあえて共有したりするのも有効だと思います。

ダメなチームの特徴は?

白河 上司が率先して自己開示し、いかに文化をつくっていくのかが大事なのですね。逆に、ダメなチームの特徴は?

ディカス 実はグーグルが水面下で研究中です……なんて、冗談ですよ(笑)。調査で見えてきた傾向として、分かりやすいのはやはり成績が数値化されやすい営業チームでした。営業部門の中でも、安心感や信頼感が高いチームは、売り上げ目標の2倍の成果を出していました。反対に、安心感や信頼感が著しく欠如しているチームには、目標に対する未達が見られたのです。

白河 この記事を読む方が、自分のチームの心理的安全性のレベルを判断するにはどうすればいいでしょうか?

ディカス 私たちの場合はハーバード大教授の分析メソッドを使って調査をしてきましたが、そのような大掛かりなスコア評価をしなくても、チームメンバーにちょっとした問いかけをするだけでも心理的安全性のチェックをすることは可能です。

例えば、「自分が何か間違いを犯した時に、それをチームの誰かに言える?」「ちょっと未熟だと思われそうな質問でも、手を挙げて発言することができる?」といった質問をして、肯定的な答えが出るかどうかも、一つの目安になるはずです。

上司が一貫した姿勢を持つことが大事

白河 日本の企業では、一定の人だけが話し、多くのメンバーが「まったく発言しない会議」が珍しくないのですが、その原因は心理的安全性が低いということでしょうか?

ディカス ほんの一部の側面だけを切り出して評価するのはちゅうちょしますが、会議の場面で様々な階層の役職の人たちがそれぞれの意見を自由に言える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いと言えるのではないかと思います。

会議ではなくちょっとした雑談に近い会話でも、自分の意見を言った時に「ダメだよ」と頭ごなしに否定されるのではなく、「そうだね」とまずは受け入れた上で批評をもらえるような雰囲気があると、人は安心して自分のアイデアを口にすることができますね。

白河 「自分のチームが生産性が低い、または心理的安全性も低いかもしれない」と気付いたマネジャーには、どんなアドバイスをしますか?

ディカス まず、チームの生産性を左右する要素は様々で、「生産性が低いチームは、心理的安全性も低い」とは限らないということをお伝えしたいと思います。その上で、もしも「チームの生産性が低い原因が心理的安全性の低さにある」と分かったとしたら、いくつか提案できることがあります。それは、私たちが公開している「Google re:Work」(Googleが自社や他企業の働き方の先進事例や研究成果、アイデアを集めたウェブサイト)で紹介しているので、ぜひご覧いただきたいと思います。

行動を起こす上の前提としてぜひご理解いただきたいのは、新しい施策の成果は一夜にしては出ないということです。親友も一夜にして親友にならないのと同じように、組織の文化を変えるのには時間がかかります。

「お互いに学び合いましょう」という姿勢が大事だと思います。ミスを犯しても、それを責めるのではなく、「これは皆が学ぶ機会になる」と捉えられるかどうか。時間はかかりますし、気持ちが焦るあまりについ上司が皆の前で怒鳴ってしまったりと、時には後退することもあるでしょう。一進一退はありますが、上司自身が「文化を変えていこう」という一貫した姿勢を保ち続けることが大事です。

(以下、来週公開の下編に続きます。心理的安全性を高め、チームの生産性を上げる方法を引き続き伺います)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)

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