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磁石でサメが右往左往 漁獲高アップし一石二鳥

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/9/28

ナショナルジオグラフィック日本版

「サメよけ磁石」が、漁業におけるサメ保護の決め手になるかもしれない。新たな研究によると、磁石にはサメやエイを遠ざける効果があり、漁業用の餌を入れたカゴにこうした魚が間違ってかかってしまうのを防げるようになるという。

「あまりにうまく行ったので驚きました」と言うのは、オーストラリア、ニューカッスル大学の海洋生態学者で、学術誌「Fisheries Reseach」に論文を発表したビンセント・ラウール氏だ。

サメの頭部の前方には、獲物の筋肉の収縮によって生じる微弱な電流を感知する器官がある。

「サメは基本的に、餌が見えなくても、匂いがしなくても、そのありかを感知できます」とラウール氏は言う。

強力で不自然な磁場、つまり磁石は、サメのこの感覚を混乱させる。ラウール氏はこれを「ドアをあけた途端に強烈な悪臭に見舞われるようなもの」だと言う。「私たちが知るかぎり、動物にとっては非常に不快な刺激です」

サメが近づかないようにできるかどうかを検証するため、研究チームは、餌を詰めた漁業用のカゴの入り口付近に、長さ約8cmの棒磁石を取り付けた。冷蔵庫に貼る磁石とたいして変わらない長さだが、厚みがあり、ずっと強力な磁石だ。

8カ月にわたり1100個近いカゴをモニターした結果、平均すると、磁石をつけたカゴにかかるサメは、ほかのカゴに比べて30%少ないことが明らかになった。サメが減ったことで、カゴにかかるゴウシュウマダイの量も30%増加した。

「目的としない魚がかかるのを減らす手段は、それ自体がクールです」とラウール氏は言うが、経済的なメリットもある。1個のカゴに5ドルから10ドルの磁石をいくつか取り付けるだけでカゴにかかるサメを減らしてゴウシュウマダイの漁獲量を増やせるなら、資金的に無理なくサメを保全できると氏は言う。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月21日付記事を再構成]

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