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トヨタ・センチュリー21年ぶり一新 日本にこだわる

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NIKKEI STYLE

国産きっての超高級車、トヨタ「センチュリー」が21年ぶりに一新された。生誕51年目にしてフルモデルチェンジはわずか3回。月間販売目標台数50台という手づくり高級車の実態を開発責任者の田部正人氏に直撃した。

日本独自の様式美を追求

小沢コージ(以下、小沢) 今回センチュリーについて改めて調べて驚きました。初代が30年間、2代目が20年間もつくられていたんですね。今年で生誕51年にしてわずか3代目というモデルチェンジの少なさ。ビックリです。

田部正人主査(以下、田部) そもそもこのクルマは「大きなところを変えちゃダメだよね」というのが最終的な結論なんです。皇室がお使いになることも当然考慮してますし、例えば小沢さん、「御料車」ってご存じですよね。いわゆる天皇皇后両陛下専用車で、「センチュリーロイヤル」というモデルがあり、私はそちらも担当していましたが、それらと隊列で走ることも考えまして。

小沢 とはいえ今回はセンチュリーとして断然カッコよくなりました。中でもフロントマスクのツルッとモダンな一体化ぶりはすごい。

田部 もちろんひと目見てセンチュリーと分からなくてはならないのですが、同時に新しくなったこともみなさんにお伝えしなければいけない。両立はデザイン的に非常に難しかったですが、デザイナーの腕もあってなかなかうまくやれたかと。

小沢 というか一瞬、海外市場をにらんだんじゃないかと考えたんです。実際、世界のVIPカー、ロールス・ロイスやベントレーにも対抗できる威厳のある美しさ。ついにこれでセンチュリーも世界進出か? と。

田部 よく聞かれるのですが、輸出の予定はありませんし、ロールス・ロイスやベントレーも全く意識していません。それより初代と2代目は遠目には違いがほとんど分からないと言われていたので、今回は違いを出したいなと。バンパーを一体化させたので輸入車に似て見えるかもしれませんが、あくまでも日本独自の様式美を追い求めたクルマです。

小沢 具体的にはどこにセンチュリーらしさが?

田部 例えば「お手振り」ですよね。これがいかにキレイに見えるかも非常に重要です。

「お手振り」を考えた後部座席の窓

小沢 え? 陛下や妃殿下がよくやられる後席からの「お手振り」ですか。

田部 ポイントは後部の窓のサイズとカタチと位置関係です。上にあり過ぎてもダメだし、お手をたくさん上げていただかなければいけなくなる。逆に下過ぎると見え過ぎてしまうし、むき出し過ぎても隠れ過ぎてもいけない。適値というのがあるんです。

小沢 センチュリー独自の配慮ですね。

田部 後は先代からの踏襲ですが、窓枠を太いアルミプレートにしてます。これもやはり後部座席の人がキレイに見えるように。

小沢 額縁性能ですね。

田部 それからドアのインサイドハンドルは亜鉛です。触ってもらうと分かりますが、冷たくどっしりしています。

小沢 面白い。相当きめ細やかな後席客への配慮ぶりですが、まだまだありそうですね。

田部 例えばVIPが降りられて、写真に収めるじゃないですか。そのとき、ドアに映り込む絵がゆがんだらマズいので、デザイナーはドアやボディーに反射フィルムを何度も貼って造形を確かめています。

小沢 映り込み性能ですね。鏡のように映るのはもちろん、足が妙に短く見えてもいけないと。となると当然塗装も極上?

田部 メチャクチャ手間暇かけてます。通常レクサスでさえ5層コートのところを7層コートにしてますし、塗装工程だけで1台ほぼ40時間かけてます。1回1.5時間かかる水研ぎも、レクサスが1回のところをセンチュリーは3回やっています。1週間、ほぼ塗装ブースに置きっ放しです。

小沢 走りについてはどうですか。

田部 プラットフォームはあえて旧型レクサス「LS」のものを使っていますけど、本来四輪駆動だったのを二輪駆動にしています。

小沢 なぜですか?

田部 ひとつは乗り心地で、四駆のままだとセンチュリーの乗り心地が確保できないので、フロントサスペンションに別体のエアチャンバーを付けました。取り付けスペースがなかったので四駆を二輪駆動にして。

小沢 ええ? レクサスLSの乗り心地でも満足できない。結果、どこが変わったんですか。

田部 後部座席での目線の動きです。旧型は足回りが少し柔らか過ぎて道が荒れると揺れたので。ウチのトップからも「センチュリーは後部座席で新聞が読めないとダメ」といわれていました。

小沢 確かにそこは大事です。で、結果的に世界一になった部分は?

田部 分かりません。今回ハイブリッド化もあって静粛性では間違いなく日本一だと思いますが、ロールス・ロイスとの比較はできなかったので。それからトルクの出し方にしても、EV走行からハイブリッド走行への切り替わりで、エンジンがかかった瞬間が極力分からないよう滑らかにしてます。

小沢 つくづくきめ細かい配慮ですねぇ。それから聞いて驚きましたが、月間の販売目標わずか50台。ちと少なすぎませんか。正直これだけのつくりです。海外に出せばある程度は売れると思うのですが。価格も1960万円。2000万円弱はある意味安い。ロールスの「ファントム」が5000万円クラスですから。

なぜ高級車大国・中国に進出しない?

田部 海外に出すとなると左ハンドルもつくらなければいけませんし、みなさんが思ってる以上に大変なんです。インパネ造形はもちろん、ステアリングギア回りも全く変えなければいけなくなりますし。

小沢 確かに世界を向いた瞬間から今のセンチュリーの方向性を変える必要が出てくるとは思います。走りの性能はもちろん、内装ひとつとっても、もっと押し出しが必要になるはず。もしや利益度外視でつくってるとか?

田部 いや赤字でもいいなんてことは全くありません。ただ、すごくたくさんもうけようとしてないということだけはいえます(笑)。

小沢 でも今やトヨタはドイツのフォルクスワーゲン、米国のGMと並び世界で一番多く自動車でビジネスをしている会社です。「クラウン」もそうですが、日本の感性や技術を誇る頂点のクルマを世界に出さないのは少し不思議な気もするんです。日本独自カルチャーの京都がこれだけ受けてるんだから、「走る京都」みたいなテイストで打って出てもいいような。

田部 全く考えていませんね。

小沢 だからそこが面白いなと。良い意味での自然な日本の箱庭文化を感じます。京都や着物の文化もそうだけど、あえて自分の中に閉じこもり、自分たちの快楽であり、美意識を追求する面がある。

田部 別に出したくないと言っているわけじゃなくて、出せるのが一番いいと思いますけど、やっぱりある程度数がまとまらないと難しいです。ものすごく投資もかかるし。今回の新型に海外から声が殺到すれば分かりませんが(笑)。

小沢 具体的に思ったのが隣国です。今やこんな近くに中国という世界で最も勢いがあり、最も貪欲な高級車市場があるんですよ。メルセデス・ベンツもBMW今や世界で一番売れている市場です。トライしないのはちともったいなさ過ぎる。しかも2000万円なんて中国のお金持ちからすると超安い(笑)。

田部 頭ごなしに否定するわけではないんですが、価値観が少し違うような気もしますね。センチュリーはやっぱり和であり、ジャパニーズスタイルじゃないですか。静かできめ細かい、日本人が茶室に感じるような安らぎを追求したクルマ。それから日本の大企業のトップの方に、いまだにセンチュリーに対して愛着を持っていただいてるんですよ。装備の古さとかは関係なくやはりセンチュリーが最高級だよねと。企業としての責任、社会貢献とまではいいませんが、われわれは継続的に出していかなければいけないと思っています。そこは商売とかは関係なく。

小沢 つくづくトヨタって日本の何かであり、文化を背負っている面があるんですよね。ある意味日本自動車産業の誇りみたいな部分はつまってんだろうなと。

田部 ありがとうございます。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」などに寄稿。著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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