hopelessは完全否定 人に使うと相手を怒らせるデイビッド・セイン「間違えやすい英語」(36)hopeless/hope

言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、hopelessの使い方。絶望感を表す単語ですが、フレーズの使い方によって誤解が生じる可能があります。

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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

同僚のナンシーが今日は朝から取引先との交渉に失敗してしまったり、長期間かけて作った資料が消えてしまったり、とにかく「ついてない」と浮かない様子。ヒロシにもそういう経験があるので、「希望がないんだね」と共感したつもりでひと言声をかけたところ、ナンシーの態度が一変し怒りの矛先がヒロシに。「失礼ね!」とかなりおかんむり。全く失礼なことを言ったつもりはなかったのですが何か問題だったのでしょう?

早速会話を見てみましょう。

Nancy: Everything is going wrong today.
Hiroshi: Oh, you're hopeless.
Nancy: What?! That's the rudest thing I've ever heard!
Hiroshi: No, no! You're misunderstanding me.

ヒロシは期せずしてこう言ったことになります。

ナンシー:今日は何ひとつうまく行かないわ。
ヒロシ:そうか、君はまったくのダメ人間だね。
ナンシー:なんですって? そんな失礼なこと言われたの初めてよ!
ヒロシ:違うよ! 誤解してるよ。

ここで問題となってしまったのが、hopelessという単語。hopelessには「望みがない」という意味があり、The situation looks hopeless. (どうしようもない状況のようだ)のようにシチュエーションなどが絶望的な様子を表す時に使います。ヒロシはナンシーから聞いた状況をくんで「希望がなくて最悪な状況なんだね」のようなニュアンスで同情したかったのでしょうが、実はこのhopelessは人に対して使うと、「全くダメな」「能力のない」という意味になってしまいますのでYou're hopeless.は共感どころか、「あなたはダメ人間だ」と相手を完全否定するひと言になってしまうのです。

I'm hopeless when it comes to grammar.(文法となると全くダメで)のように自分に使うのではあれば問題はありません。 他にも、hopeless at...で「~がてんでダメ」という意味になりますので、Mike is hopeless at swimming.で「マイクは泳ぎが全くダメ」やLucy is hopeless at cooking.(ルーシーは料理がまるでダメ)のような使い方をします。落ち込んでいる相手にかける言葉としては不適切ですね。

ではどう言えばよかったのでしょう?

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