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運動や日記書き… 医師が語る認知症予防5カ条

国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長・遠藤英俊さんに聞く

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

「高齢になっても認知症にはならず、元気な脳のままで一生を終えたい」。こう思っている人は多いだろう。認知症を治すことはできないが、発症を予防したり、進行を抑えたりすることは期待できる。日経BP主催のイベント「スマートリィ・エイジングEXPO」における国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長・遠藤英俊さんのセミナー「認知症にならない『元気脳』のつくり方」より、認知症予防につながる生活習慣、食事と運動の勘所などについて紹介する。

認知症の中でも一番多いのがアルツハイマー型認知症。認知症全体の67.4%で、続く血管性認知症18.9%と合わせると認知症全体の85%以上を占める[注1]

アルツハイマー型認知症は脳に蓄積したアミロイドβと呼ばれる物質が、老人斑という脳のシミのようなものを形成。さらに脳の細胞内へタウという老廃物が蓄積され、これらによって神経原線維の変化が起こるもの。最初に記憶障害が起こる。「古い記憶は残るが、新しい記憶から消えていくんです。被害妄想が出たり、分からないことを分かったように取り繕ったりすることも症状の一つです」(遠藤さん)

CTやMRIの画像で検査をすると、脳の特に海馬と呼ばれる部分が萎縮しているのが特徴だ。一方、血管性認知症は脳梗塞など脳の血管の病気により、脳細胞の一部が機能しなくなるために起こる。どちらも失われた脳細胞が元に戻ることはない。現在、認知症の薬は4種類発売されているが、いずれも認知症を治すものではなく、進行を遅らせることが期待できる薬だ。

では、病理学的に脳の変化が起きている人は皆、アルツハイマー型認知症を発症するのかというと、そうではない。米国修道女を対象とした認知機能の追跡調査「ナンスタディー」から、そのことは分かっている。1991年から修道女678人(75~102歳、死亡時年齢)を対象に毎年、認知機能の検査を行い、さらに亡くなった人の脳を検査したところ、脳にアルツハイマー型認知症の病変が起きていた人でも、認知症を発症していなかった人が8%も存在した。この人たちが生きていた頃の生活ぶりを検証したところ、健全な生活や、脳を活性化させる活動が、認知症の発症や進行を予防する可能性があると考えられた。

「ナンスタディー以降、さまざまな研究から認知症は予防できることが分かってきました。認知症予防で最も大切なのは、血管の老化(動脈硬化)を予防することです」と遠藤さんは話す。そのために重要なのが、次の5カ条だという。

[注1] 池田学編『認知症 臨床の最前線』(医歯薬出版)

【認知症予防の5カ条】
1. 生活習慣病の予防
2. 有酸素運動
3. 日記などの知的活動
4. 野菜・大豆などを意識した食事
5. 慢性的なストレスをなくすこと

「高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳血管障害が原因となる血管性認知症を引き起こします。また糖尿病では2倍、高血圧では3倍、アルツハイマー型認知症の発症も高くなることが分かっています。よって生活習慣病を予防することは認知症の予防として重要です」と遠藤さん。

有酸素運動と知的活動はなぜ大切

生活習慣病を予防するためにも効果的なのが、ウオーキングやランニングなどの有酸素運動だ。認知症を発症していない高齢者4615人を5年間追跡した調査では、歩行以下の運動を週3回以下の頻度でしかしていない低運動量群は、歩行より強い運動を週3回以上の頻度で行う高運動量群に比べ、軽度認知障害、アルツハイマー型認知症、その他すべての認知症の発症リスクが有意に高かった[注2]

一方、認知症に対する知的活動の効果は前述の「ナンスタディー」の追跡調査で明らかである。脳にアルツハイマー型認知症の病変が起きていても認知症を発症しなかった人に共通していたのが、日記を書くなどの知的活動が高いことだった。

「認知症予防のためには何歳になっても頭を使うことが大事です。特に定年退職後は注意が必要です。社会活動から引退して家に引きこもらない、新しい仕事や役割を見つける、自分より若い友人を作ったり、地域の役に立つボランティアなどに参加したりするなど、人と関わり頭を使うように心がけるようにしましょう」(遠藤さん)

具体的には、語学を勉強したり、楽器を習ったり、あるいは囲碁・将棋などのゲームをする、カラオケなどで声を出すといったことがいいと遠藤さんは話す。

有酸素運動と知的活動の組み合わせ「コグニサイズ」の勧め

遠藤さんは、有酸素運動と知的活動を組み合わせた「コグニサイズ」という運動法が認知症予防に効果的だと勧める。

コグニサイズは運動と認知トレーニングを組み合わせた新しい運動方法である。方法は簡単。例えば、足踏みやステップなどをしながら、同時に計算をする。計算は100から7ずつ引いていくなどでOK。ステップのリズムに合わせ、「100、93、86、79…」というように続ける。2人で交互に行うと、より複雑になり効果的だ[注3]

足踏みやステップだけでなく、ストレッチや簡単な筋トレ、ウオーキングなどの運動と組み合わせてもよい。組み合わせる認知トレーニングも、3の倍数で手をたたく数字遊びやしりとり、川柳を作るといったことでもかまわない。

[注2] Laurin D, et al.Arch Neurol. 2001;58(3):498-504.

[注3] コグニサイズの詳細は国立長寿医療研究センター「認知症予防へ向けた運動コグニサイズ」で紹介

「コグニサイズで大切なのは、運動と認知トレーニングを同時に行うことです。そして、毎日、目標として決めた時間を続けることが大事です」と遠藤さんは言う。

毎日続けられる認知症予防は食事

「食事は、認知症予防で最も大切です」と遠藤さん。認知症予防の食事に関する研究報告は数多く、中でも九州大学の久山町における認知症の疫学調査(1985年に始まった65歳以上の全高齢住民を対象とした認知症および日常生活の調査で、現在も継続して行われている)は有名だ。

認知症の予防につながる食事パターンがこの久山町研究から分かってきた。まず認知症予防のために食べるとよいとされる食品は、緑黄色野菜、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、海藻類などで、逆に減らすといいとされる食品は、米、酒だ。

「ただし、米を単品で見ると、その摂取量と認知症発症との間に明らかな関連は認められず、一定の摂取カロリーの中で、米の摂取量を減らして、予防効果がある他の食品の量を増やす食事パターンがよいと考えられています」と遠藤さんは続けた。

もう一つ、遠藤さんが認知症予防に効果的な食品として挙げたのが、柑橘類である。

「1万3373人の日本人を対象にしたコホート研究[注4]で、柑橘類の摂取頻度が週2回以下の人に比べ週3~4回摂取している人では認知症発症のリスクが約8%低く、ほぼ毎日摂取している人では約14%低いことが分かりました[注5]」と遠藤さんは解説する。

最後に遠藤さんは、ストレスについて、「慢性的なストレスをなくすことも認知症予防には大切です。例えば、定年退職後、家で奥さんにずっと怒られているような人は慢性的にストレスが多く、認知症になりやすいかもしれません。笑顔で夫婦仲良くが認知症の予防にも大切です」と、冗談交じりに話した。

[注4] コホート研究:ある時点で研究対象とする病気にかかっていない人を集め、その後長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生や予防と関係しているかを調査する手法

[注5] https://doi.org/10.1017/S000711451700109X

遠藤英俊さん
 国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長。1982年滋賀医科大学卒業、87年名古屋大学大学院医学研究科修了。総合病院中津川市民病院内科部長、国立療養所中部病院(現・国立長寿医療研究センター)内科医長などを経て現在に至る。老年病専門医。著書は『最新 ボケない! "元気脳"のつくり方』(世界文化社)、『よくわかる認知症Q&A ―知っておきたい最新医療とやさしい介護のコツ―』(中央法規出版)など多数。認知症、高齢者虐待問題、介護保険関連を専門とする。

(ライター 伊藤左知子)

[日経Gooday2018年9月11日付記事を再構成]

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