動画やSNS使い放題 スマホ通信量フリーのお得度
格安SIM最前線
格安SIMを扱う携帯電話キャリア(携帯電話会社)の中で、「ゼロレーティング」を取り入れるところが増えている。これはスマートフォンの通信で、指定のサービスを利用したときのデータ通信量はカウントされないという機能。格安SIMで広まった機能だが、8月にはソフトバンクもメニューに取り入れて話題になった。具体的にどんな機能で、どのようなメリットがあるのかを見ていこう。
対象サービスの通信が無料に
ゼロレーティングは特定のサービスを利用したときのデータ通信量が料金プランの通信容量から差し引かれないという機能だ。提供するキャリアによって「カウントフリー」や「データフリー」など呼び名はさまざまだが、基本的な機能は共通している。
一般的な料金プランでは、契約した通信容量を使い切ってしまうと、通信速度が料金請求の締め日(翌月1日など)まで低速に制限されてしまう。動画サイトやSNSの使いすぎで、速度制限がかかってしまったという経験を持つ人もいるだろう。
だが、ゼロレーティング機能を利用していれば、対象サービスを使ったときの通信量はカウントされない。例えば「BIGLOBEモバイル」のエンタメフリー・オプションを契約すれば、YouTubeの動画やAbemaTVの番組を何時間視聴しても、通信容量を消費したことにはならない。実質的に無料で通信できるというわけだ。
キャリアによって、対象サービスは異なる。SNSや動画配信サービス、音楽配信サービスなどが多いが、LinksMateのように「アイドルマスターSideM」などスマホゲーム40タイトル以上を対象としているキャリアもある。
対象サービスにハマっている人ほどお得に
ゼロレーティング機能の利用料金はキャリアによって無料と有料がある。たとえばLINEモバイルやOCNモバイルONEは無料で利用できる。
対象サービスのヘビーユーザーなら、有料であっても利用する価値はある。
たとえばBIGLOBEモバイルの場合、音声通話SIM向けのゼロレーティング料金は月額518円。毎月12ギガバイトのプランが月額3672円なのに対して6ギガバイトにすれば月額2322円で済む。もし、対象サービス以外の通信が6ギガバイト以内に収まるなら、料金を支払っても利用した方が毎月のコストは安くなる。
BIGLOBEモバイルのゼロレーティングでは、YouTubeやAbemaTVなどの動画配信サービス、SpotifyやApple Musicなどの音楽配信サービスが対象となっている。これらを毎日利用していることが原因で速度制限がかかってしまう人にとっては、料金が安くなる上に、速度制限を心配せずに楽しめるようになるわけだ。
対象サービスの通信量や契約している料金プランにもよるが、目安として「契約している料金プランで使える容量の半分以上」を対象サービスだけで消費しているなら、ゼロレーティングのオプションを契約する前提で、1つ下の料金プランに変更する価値はあるだろう。
ソフトバンクのプランは事情が異なる
大手携帯キャリアでも8月29日、ソフトバンクが「ウルトラギガモンスター+(プラス)」という、ゼロレーティング機能を標準で備えた新しい料金プランを発表。9月6日より申し込みを受け付けはじめた。
こちらもYouTube、AbemaTV、TVer、Instagram、Facebookといった、通信容量を消費しがちな動画配信サービスやSNSが対象となっている。ただし、節約志向の格安SIMとは考え方が異なる。
ウルトラギガモンスター+は、「ほぼデータ使い放題」とアピールされていた前身の料金プランから、「毎月50ギガバイト」という大容量を受け継いだ上に、ゼロレーティングを導入することで、使い放題の度合いをさらに高めている。
その分、月額料金は8078円(通話料金が従量制の「通話基本プラン」を選択した場合。割引はいずれも含まない)と高価だが、記事「新iPhone登場でスマホ見直し 携帯会社に3つの選択」でも触れたように、ソフトバンクでは通信が混雑する時間帯でも速度が遅くなりにくいなど、大手携帯キャリアならではのメリットを享受できる。外出先でも通信制限や速度低下を気にせず、動画やSNSをはじめとしたさまざまなサービスをスマホで利用したいという人たちに向けたサービスとなっている。
(文 松村武宏)
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