愛嬌(あいきょう)のある綾乃さんはモテないわけではない。行きつけの飲み屋では、常連仲間から30代の男性を紹介されたこともある。その場でLINEを交換し、都内にある水族館に遊びに行く約束をした。

しかし、その男性は寝坊して1時間も遅刻してきた。会話も盛り上げようとはしない。人気エリアでのデートなので、カフェはどこも長蛇の列。普段は元気な綾乃さんも「猛烈に家に帰りたくなった」と告白する。

「1を質問しても0.7ぐらいしか返答がこない男性が多すぎます。話を広げてくれないんです。私が広げてもいいのですが、『あまり反応が良くないのは、この部分は触れてほしくないから?』と考えると何も言えなくなってしまいます」

意外と受け身で慎重な姿勢に見えるが、綾乃さんには経験則がある。本当は好きな人に自分からアタックしたいけれどそれで成功したことがない。男性からアプローチしてもらって打ち解けていくほうが自分には合っているというのだ。

ただし、最近は「いいな。告白してほしい」とひそかに思う人すらいない。最後の恋人と別れたのは2年前だ。

「友だちと遊びに行ったクラブで声をかけてくれた1歳年下の人でした。私は面食いではないけれど、そのときは顔で選んじゃいましたね。カッコ良かったです。でも、中身はあまり面白くはありませんでした。特に悪いところはなかったけれど……。彼が留学をすることになって疎遠になり、それっきりです」

そのころは結婚願望も高まっていた。子どもに関しては「授かりものなので、絶対に子どもが欲しいという結婚相手では困る。私が原因で子どもができなかったら申し訳ない」という感覚だった。出産や子育てではなく、「結婚生活」というものを味わってみたかったのだ。

「最近はその気持ちは薄れました。奇跡的にいい人と巡り合えたら結婚したい、ぐらいです。子どもについては姉の子どもたちをかわいがることで満足しています」

周囲の「できる男性」は既婚者ばかり

綾乃さんによれば、コンサルティング会社の同僚や取引先は、男性のほうが結婚が早い。未婚の男性と一緒に働くことはほとんどないと明かす。いわゆる「できる男」が多い環境なのだ。彼らは早ければ学生時代から周囲の女性につかまっていて、30歳を超えるあたりまで独身のまま残っていることはまれだ。同じ理由で、学生時代の男友達もめぼしい人は既に結婚している。

「みんなで集まったときに、『坂東は男を選んでいるんじゃないの?』なんて言われます。(結婚相手なのだから)そりゃ選ぶわ!と言い返しています。『芸能人なら誰が好き?』と聞かれたら答えますけど、『あんなカッコいい人は実際にいないよ』なんていじってきたら許しません。『好きな芸能人を聞かれたから答えただけで、彼と結婚したいなんて言ってません』と口を封じます。こうやって、気心の知れた同級生のバカな質問を全部つぶしていくのはストレス解消になります」

筆者もかつては30歳だったので、同級生に代わって綾乃さんに解説させてほしい。「選んでいるんじゃないの?」という言葉は、「君ぐらいかわいければ引く手あまたのはず。それでもまだ独身なのは、男性を厳選している結果だから仕方ないよね」という意味だ。ほめながら慰めているのだ。芸能人みたいにカッコいい人は実際にはいないよ、という発言には「オレみたいに地味だけど誠実で優しい働き者にも目を向けてほしい」という真意が込められていると思う。分かりにくいだろうか?

綾乃さんが魅力的だからこそ、同級生たちは不器用な質問を繰り出しているのだ。同級生の〇〇くんと会う次の機会には、「〇〇くんみたいにいい男が残っていたら私もすぐに結婚したい。会社の人でいい人がいたら、今度一緒に飲まない?」とお願いしてみよう。3人ぐらいに頼めば1件ぐらいは実現するかもしれない。男2人と女1人の組み合わせで飲むのは意外と楽しいし、あまり女性慣れしていない男性もその構図であれば安心しやすい。会話が弾むかもしれない。

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