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女性校長、学校の働き方改革で奮闘 先生にもゆとり

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NIKKEI STYLE

教員の長時間労働を見直すなど、各地で女性校長が働きやすい職場作りに知恵を絞る。小中学校の教員の女性比率は高まっているが校長の大多数が男性。仕事と家庭の両立やキャリア構築に悩んだ女性校長らが自らの経験を生かし、学校教育の質の向上にもつなげようと働き方改革を目指し、奮闘する。

少人数会議で若手活発

8月下旬、滋賀県湖南市の菩提寺小学校で新学期を前に職員会議を開いた。担当学年が異なる教員で作るグループから笑い声が上がる。松浦加代子校長(55)は少し離れて見守り、会議後に紙に書かれた意見を集めた。

以前は毎月1回、教員全員で行っていた会議を、ほぼ2カ月に1度に減らし、少人数制のグループディスカッションにした。若手教員が遠慮せず、働きやすくするアイデアを出せるようにするためだ。

「小さなことからコツコツと」と見直しを積み重ねる。同校では校内のプールへ上履きのまま児童を移動させるため、教員がすのこをわざわざ設置し、季節が終わると手で洗っていた。若手教員の提案で、すのこは敷かず体育館経由でプールに行くよう変更、長年の"慣習"を見直した。

業務効率化を進める一方で綿密にフォローする。業務改善だと教員は考えても、「保護者と距離ができたら本末転倒」との危惧からだ。夏休み恒例の個別懇談は廃止を決めたが、保護者らにプリントで相談の場をいつでも設けることを伝えた。

教員が疲労感を覚えるのは、児童のトラブルや保護者への対応がほとんどだ。校長室の扉を開けて職員室の様子がいち早く分かるようにし、校長と教頭、教務主任らが教員からの相談や報告を一元的に把握する。

松浦校長は同じく教員の夫と共働きで3人の子供を育ててきた。「教員自身が自分の生活を大切にできる生き方をしてほしい」。自らの家庭生活から得た思いだ。

文部科学省によると、公立学校の女性教員の比率は増え続け、2018年で小学校は62.4%、中学校で43.7%。ただ、女性校長は小学校で19.6%、中学校で6.6%にとどまる。政府は20年までに校長・教頭に占める女性の割合を20%に引き上げる目標を掲げ、長時間労働の見直しや研修への参加機会を女性に開く施策を始めつつある。

無駄排除、定時帰宅促す

学校の中でもとりわけ長時間労働が指摘される中学校。ハード面の改善で無駄な動きを減らすのは、北海道小樽市立朝里中学校の森万喜子校長(56)。同校に赴任した今春、校長室の大半を占めていたソファセットを除き、代わりに廃校で出たテーブルを運び込み、打ち合わせスペースにした。「学校現場には前例踏襲が染みついている」として不要な物や仕組みは切り捨てる。「ブルドーザーと呼ぶ人もいる」と笑う。備品や文房具は職員室の一角にまとめて使いやすくし、それまで各担任が預かっていた生徒の携帯電話は一括で保管する。

「文書作りなど雑務に手間暇を掛けて『仕事をした気』になっている教員が多い。本当に必要な業務かをいつも問い直す姿勢が必要」と語気は鋭い。今学期からタイムカードを導入し、「どれだけ働いているかまず自覚を」と諭した。定時には早く帰るよう声を掛けて回り、自身が率先して職場を後にする。

原点は「ブラック職場だった」と振り返る新任で赴任した千葉市内の中学での経験だ。会議に合わせて教職員は早朝から出勤し、夕方に頭を下げて職場を後にする子育て中の女性教員が陰口を言われた。「深夜まで働ける男性優位の職場で、早く帰宅する女性は黒子だった」。47歳で小樽市立中学で初めて女性教頭になり、今は市内唯一の女性校長。「大人が楽しく生きる姿を生徒に見せて人生に希望を持ってほしい」と願う。

「女性教員特有の悩みがあるのではないか」と話すのは、全国公立小・中学校女性校長会の元会長で東京都目黒区立東山小の佐々木直子校長(60)。17年夏に全国の女性教員に働き方に関する調査を実施した。校長職(75人)の約8割が1日に11時間以上勤務し、平均睡眠時間は5時間。教員(246人)の8割以上が子育てや家庭との両立で困難を感じると回答した。結果をもとに「会計処理などの作業は事務職員を活用してほしい」「難しい保護者には組織で対応する仕組みを」などと文科省に要望を伝えた。

女性教員仲間が子育てとの両立に悩み、やむなく退職する姿を見てきた。「教員の世界は男女平等」とされるが、管理職の打診は男性にという風潮が根強いという。女性の後輩教員に研修会への参加を促し、校長昇進試験の助言もする。「ジェンダー教育の視点でも女性管理職をより増やしたい」。男女問わず様々な立場の教員が子供に関わる環境の大切さを強調する。

学校の「思考停止」脱却 ~取材を終えて~

「学校独自のローカルルールが多すぎる」「前例踏襲が大好きな風土でね」。学校現場を取材するとこんな言葉が多く聞こえた。地域に根ざし、長い歴史と伝統を背負う学校という場には、前例を重んじる風潮がとりわけ根強いのかもしれない。それらを「思考停止してきた産物」と冷静に見なして改めることで、教員が元気に働けるようになるのは好ましい。

取材で会った女性校長は全員「校長になって良かった」と言い切る。「現場で子供たちと触れ合いたい」と管理職昇進を断る教員は多いと言うが、校長だからこそ授業のない時間に子供に積極的に関わって話しかけ、教員の負担を減らすような役割を果たす場面も多そうだ。

教員は子供の未来を導く特別な人ととらえられがちだが、働く人であり家庭人でもある。1人の大人として楽しく生き生きと充実した働き方がかなう時、生徒へ最大限のパフォーマンスを発揮できるのだと実感した。(松浦奈美)

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