男性の健康左右するテストステロン 仕事力にも影響

日経Gooday

「転倒、骨折をしやすく、要介護の大きな原因となるサルコペニア(筋肉の減少)にもテストステロンが関係しています」(堀江さん)

不調だけに留まらず、テストステロンが低い男性は寿命が短い傾向があることも分かっている[注8]。高血圧、糖尿病、がん、心臓病などのリスクが軒並み高くなるためで、テストステロンの低下は命にかかわる問題なのだ。

テストステロンを高める生活習慣とは?

逆にテストステロンが増えると寿命が延びる。「サーチュインという長寿遺伝子があり、運動、レスベラトロール(ポリフェノールの一種)、そしてテストステロンによってスイッチが入ることが分かっています」と堀江さん。男性のアンチエイジングはテストステロンを増やすことがポイントだ。

先ほど触れたように、テストステロンには筋肉を増やす作用があるが、運動で筋肉に刺激を与えることでテストステロンも増える[注9]

米コロンビア大学で行われた研究から、姿勢だけでもテストステロンの分泌量が変わることが分かった。肩をすぼめて猫背にしているときと比べて、2分間胸を張った姿勢を取るとテストステロンが高くなる。同じく、ストレスを感じたときに分泌されるコルチゾールというホルモンが減ることも確認された[注10]。背中を丸めていると気分が沈み、胸を張ると気分が明るくなるのは気のせいではない。

最後に堀江さんが提案する「男性ホルモン値を上げる10カ条」を紹介しよう。「男性の健康に欠かせないテストステロンを上げて、健康長寿を目指しましょう」と堀江さん。ぜひ、今日から心がけてほしい。

「男性ホルモン値を上げる10カ条」

(1)男性ホルモンの大敵、過度の緊張を和らげよう
(2)積極的にゆとりのある生活を送ろう
(3)食事を大切に
(4)忙しいときこそ短時間でエクササイズ
(5)良い睡眠を取ろう
(6)仲間を大切に
(7)無理しておしゃれをしよう
(8)凝り性になろう
(9)大声で笑おう
(10)目標を持とう、冒険をしよう、わくわくしよう

[注8] Arch Intern Med. 2006;166(15):1660-5

[注9] Metabolism. 1996;45(8):935-9

[注10] Psychol Sci. 2010;21(10):1363-8

(文 伊藤和弘、写真撮影 花井智子、図表作成 増田真一)

堀江重郎さん
順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学教授。1985年、東京大学医学部卒業。米国テキサス州で米国医師免許取得。帝京大学医学部泌尿器科主任教授などを経て、2012年より現職。日本泌尿器科学会指導医。日本Men’s Health医学会と日本抗加齢医学会の理事長を務める。著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館101新書)、『うつかな?と思ったら男性更年期を疑いなさい』(東洋経済新報社)など。

[日経Gooday2018年9月6日付記事を再構成]

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