高収益と両立できる? リスク限定型投信の実力を探る運用は消極的に

2018/9/23
写真はイメージ=123RF
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元本確保をうたったり、損失を一定以内に抑制したりする投資信託の設定が相次いでいる。投資で損はしたくないというリスク嫌いの個人マネーの受け皿を狙っている。個人の関心は高そうだが、いずれも仕組みが複雑でわかりにくいだけに、リスクとリターンの関係などを納得したうえで購入を検討してほしい。

「貯蓄と投資の中間という位置づけの商品。このファンドで何とか岩盤預金を動かしたい」。そう話すのは、7月に設定した元本確保型の「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド」を企画したアセットマネジメントOne(AMOne)の浜田好浩シニアエグゼクティブだ。

同ファンドは10年満期の単位型投信。狙うのは900兆円を超える個人の現預金だ。「元本確保」という強力なキーワードで、投資に二の足を踏む個人を振り向かせたいという。

ヘッジ取引を活用

元本確保の仕組みは複雑だ。同投信が投資するのは米ゴールドマン・サックス(GS)グループが発行する円建ての仕組み債(社債)。10年後の償還時にGSが破たんしていない限り、当初の元本は割らない。

リターンの源泉となるのは、この仕組み債から得られる2種類の利息収入だ。

ひとつ目が、年0.32%に固定された利息。この収入を、本来なら投資家が負担する実質信託報酬(0.31%)に充て、投資家の投信保有コストをゼロとする。

ふたつ目は、運用実績に連動する利息だ。仕組み債は、低リスクの国際分散モデルに基づいて国債や株式の先物を使って収益を稼ぐ構造。同時に損失を回避するためのヘッジ取引を活用して利息収入がマイナスにならないようにする。

実績連動の利息収入は、1割をAMOneが成功報酬として受け取り、残りを年1回の分配金として投資家に支払う。過去のデータに基づいて試算したところ、投資家リターンは年2.1%だったという。

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基準価格が下限値で繰り上げ償還