元本確保型や損失限定型の投信について、楽天証券経済研究所の篠田尚子氏は「資産防衛を優先し、資産が増えなくてもいいという人向き」と指摘する。元本割れや、損失がどんどん膨らむ懸念がない代わりに、期待できるリターンは限られるからだ。

例えば「ほっとステップ」の想定リターンは年率1.5%で、リスク(標準偏差=基準価格のブレ幅)は3%。「ダブルウォッチ」と「あいしんスイッチ」の過去1年の実績リターンは若干のマイナスだ。

「GS社債/国際分散投資戦略」は前述のように試算リターンが年2.1%だった。だが、「試算は債券相場が好調だった時期で、今後も同じリターンが期待できるとは限らない」と独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は指摘する。

基準価格はGSの仕組み債の価格に連動するので、満期まで保有せずに中途解約する場合には、損失が出る恐れもある。

資産運用で損失を回避しようとすればリターンはあまり期待できないし、一定のリターンを得ようとすれば相応のリスクが付いて回る(図B)。

バランス型投信など候補

たとえ退職世代でも、資産を増やす必要に迫られている人もいるはず。「安心だから」というだけで損失限定型などを購入すると、リターンが低すぎて期待外れに終わる恐れがある。

預金の代わりではなく、少しずつでも資産を増やしたいというなら、資産分散でリスクを抑えたバランス型投信などが候補になる(表C)。篠田氏は「短期的には損失が出ても、リスク水準が4%なら3年程度、5~6%なら5年持ち続ければ成果は得られるだろう」と主張する。

資産運用のリスクとリターンは二律背反だ。投資の対象を決めるのは、まずは運用に何を求めるか、目的を明確にしてからになる。

(QUICK資産運用研究所長 北沢千秋)

[日本経済新聞朝刊2018年9月15日付]

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