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私のリーダー論

「青ざめる経験」で磨いた目利き力 オリックス社長 オリックスの井上亮社長兼CEO(上)

2018/9/20

――かつて廃止された社長室を復活させたのも、自分で案件を見極めるためですか。

「経営トップとM&A(合併・買収)や事業投資などの案件との距離感をもっと縮めたかったからです。最近の案件は全てが複雑で、担当部署にとっては初めての案件が多い。しかし検討すべきかどうかを現場で1カ月も議論していたら、良い案件はなくなってしまいます。それぞれ現場できちんと考えてもらうようにしていますが、やはり経験なんですよね。経験からでてくる判断と、外部のコンサルタントのレポートに基づく回答が違うのは当たり前です」

「ただ、このやり方がベストとは思ってはいません。どうやって目利きし交渉できる人材を育てていくか、正直悩んでいるところです。現場の社員の育成はほとんどOJT(職場内訓練)でこれまであまり教育費をかけてきませんでした。オリックス社員に求めている金融・法務・税務・会計の4つの知識も必要ですが、これは座学でもある程度身に付けられますから、研修などを手厚くしたいと考えています」

■テクノクラートとして会社を導く

――昨年、ERM(全社的リスク管理)の部署を作ったのは海外経験が背景にありますか。

オリックスは事業を次々に広げ、複雑な案件が増えているという

「3年前に豪州の現地法人で不祥事がありました。もし対応を間違えていたらオリックス本体にもペナルティーがあったかもしれません。再発防止策を徹底しましたが、これから海外展開をさらに進めていくなかで、気がつかないうちに不祥事が起きてしまう可能性もあります。それを避けるためにもERMは必須です」

「欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)や米国の独占禁止法制などが話題になっているように、最近のリスク管理は非常に幅広い分野で対応しないといけない。どの会社もそうでしょうが、営業優先の企業文化なので、管理部門は気を付けたいと思っていても営業に対してはきついことが言えないというジレンマがありました。そこでERMの部門に権限を与え、営業と管理部門の責任と権限の範囲で何が最適なのかを考えるように、宿題を渡しています」

「こういうことも本来はCEOの仕事ではないと思いますが、私がやっているということは、私はカリスマではないのでしょう。テクノクラート(高度な専門知識を持った行政官)のように、オリックスを時代にあった会社にすることが使命だと思っています」

井上亮
1975年中大法卒、オリエント・リース(現オリックス)入社。国際畑でギリシャや香港、米国に駐在。99年に発足した投資銀行本部の副部長に就任、大韓生命の買収などを担当。2010年取締役。11年に社長、14年から現職。

(安田亜紀代)

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