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キャリアの原点

苦しみ抱える人の居場所つくる 「教育への志」を実践 LITALICO執行役員 深沢厚太氏(下)

2018/9/18

2016年3月に入社。早々に取り組んだ「発達障害に関する知識のある教師を増やす」署名活動は、国の方針の転換につながった。具体的には、少子化で教員定数を減じる傾向にある中、発達障害のある子らが学ぶ「通級指導」の教員配置に限り「以後10年間で段階的に増やす」ことになったのだ。

■変わる教育環境にどう臨むか

子供を認めて伸ばす教育を実践したいという

「保護者数十人に現状や要望をヒアリングした上で、署名3万人を目標に活動を展開しました。経験から言って、思いは訴えるだけでは伝わらない。相手に分かりやすく対案を提示すること。そしてこれは個人の問題ではなく、社会全体の問題なのだというエビデンス(根拠)を明らかにすること。さまざまな関係者に意見を聞き、皆で作り上げていったのが成功の背景にあったと思います」

こうした活動や、「LITALICOジュニア」事業を通して保護者と交流を重ねる中で、深沢氏は決意を新たにしている。

「相談できる場所が少ないぶん、LITALICOが頼みの綱としての役割を果たしている。現状、展開する教室数が利用希望者数に追い付いていないことで、保護者からクレームが寄せられることもあります。でも、丁寧に話を聞いていくと、それも期待の裏返しであることが多い。一人ひとりの声を受けとめながら、よりよいサービスにしていきたい」

発達障害に限らず、子どもたちを取り巻く状況は交流サイト(SNS)などの浸透で大きく変わったとみる。

「20年ほど前であれば、学校にいるときの自分と、帰宅した後の家にいるときの自分は切り離すことができました。でも、ツイッターや写真共有アプリのインスタグラムなどによって、人間関係も含め“学校”と“家”の自分を区別しにくくなっているのが現在の子どもたちです。あるいは、少し間違ったことを言ったら過剰に世間からたたかれるなど、同調圧力が社会全体で強くなっているような気がします」

そうした認識を踏まえ、拡充に取り掛かっているのが「子どもを中心にした包括的な支援」だ。教室を展開する中で得た同社の支援スキルや知見を、保育園・幼稚園、学校を訪問することによって、日々子どもと関わる教員などへ伝えていく。また、ペアレントトレーニングとして、保護者が子どもの成長段階に合わせた接し方を、講習を通して学ぶプログラムも開始している。

「LITALICOの指導教室内だけでなく、保育園・幼稚園、学校、家庭など、いつでもどこでも適切なサポートが受けられるようにしたい。一人ひとりに寄り添い、認めて伸ばすという教育を、これからも実践していきます」

道は、自分の後ろにしかできない。キャリアの語源は、車の「轍(わだち)」だといわれる。それでも“道標(みちしるべ)”としてのビジョンを持つことの重要性を、深沢氏の働き方は教えてくれる。

深沢厚太
東京大学文学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、製造業のオペレーション改善などに従事。NPO法人Teach For Japanの立ち上げに参画。カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスにてMBA取得後、マッキンゼーに復職。2016年3月、株式会社LITALICOに入社。

(ライター 加藤藍子)

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