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保険の内容、家族は知ってる? 広がる登録制度活用を 認知症や災害に備え

2018/9/18

写真はイメージ=PIXTA

 高齢の親の病状が悪化し、介護のことなどを考えると、どんな保険に入っているのか気になります。保険会社に問い合わせれば教えてくれるのでしょうか。

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 家族であれば契約者本人に代わって保険の内容を教えてもらえると思っている人もいるが、保険会社は原則、契約者以外に契約内容に関する情報を伝えることはない。しかし、契約者が事前に登録した家族であれば、契約内容などの問い合わせに応じる「家族情報登録制度」を新設する生命保険会社がここ数年、相次いでいる。今年に入ってからも3月にかんぽ生命保険、6月にアクサ生命保険が制度を新たに設けた。

 契約者が病気になったり認知症を発症したりして契約状況を認識できない事態に備えるのが目的だ。大規模災害で契約者と連絡が取れなくなった場合などにも対応する。

■東日本大震災がきっかけ

 まず契約者本人が家族を指定して、名前や連絡先などを登録する。詳細は保険会社で異なるが、登録できる「家族」は3親等以内の親族とする会社が多い。登録可能人数は1~3人だ。登録した家族が電話などで保険会社に問い合わせると、具体的な契約内容や保険金請求のための手続き方法を教えてもらえる。

 保険会社側から家族に直接連絡することもできるようになる。引っ越しや災害などの理由で定期的な契約内容の確認通知などが契約者に届かなくなった場合、安否状況などを家族に問い合わせる。保険料などの請求書類などを家族に送付する会社もある。

 ファイナンシャルプランナーの田中香津奈氏によると、「東日本大震災で保険会社が契約者の安否確認や請求手続きに膨大な時間を要したことが制度創設のきっかけ」という。

 契約者の高齢化に備える役割も果たす。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は10月に発売する認知症保険で1人以上の家族情報の登録を必須とした。これまで3親等以内だった家族の範囲も4親等以内まで広げた。

 このように家族情報登録制度を活用すれば、保険金の請求漏れを防ぐことができ、受け取れるはずの保険金がもらえないといった事態を避けられるようになる。

■「指定代理人」の登録も必要

 ただ、家族がこの制度に登録したからといって直接、保険金の請求や解約などができるわけではない。登録情報の変更など契約に関わる行為もできない。保険金請求などを家族が代わりに行うには、別に「指定代理人」を登録する必要がある。指定代理人に登録できるのは、やはり3親等以内の親族とする生保が多い。

 このため制度を活用するには事前の準備が必要だ。家族情報登録制度も指定代理人も、契約者が事前に登録しておかなくてはいけない。登録時と利用が必要になった時点で家族の状況が変化している可能性もあり、田中氏は「定期的な確認と見直しが必要」と助言する。まずは家族で加入する保険の情報を共有したい。

[日本経済新聞朝刊2018年9月15日付]

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