『痛快TVスカッとジャパン』 際立つ悪役キャラ

最初は自分勝手な人にムカッとしたが、居合わせた人に機転で撃退されたり、天罰を受けたりする展開でスカッとした――。そんな体験談を募集し、コント仕立てでミニドラマ化するバラエティー『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)が好評だ。際立った悪役キャラクターや週500通以上届く投稿が人気を支えている。

『痛快TVスカッとジャパン』 俳優・映画監督としての顔も持つMCの内村光良ならではのコメントも魅力(フジテレビ系/月曜午後7時57分)

放送開始は2014年10月。上司にはこび、部下には高慢な態度を取るイヤミ課長(木下ほうか)や周りの人を見下す悪女・エリカ(菜々緒)などの悪役キャラが番組人気の火付け役だ。

バリエーションで誕生した学生時代の青春や恋愛を描く「胸キュンスカッと」は、今や若手俳優の登竜門と目される。ボンボンバカ息子シリーズの長嶋一茂や、今どき悪女の滝沢カレンなど、新キャラも続々と登場している。

番組を企画したチーフプロデューサーの木月洋介氏は、『ピカルの定理』(10~13年)などでディレクターを担当。『スカッとジャパン』は、14年に自身も関わっていた『笑っていいとも!』が終了するタイミングで出した企画だ。「コントをつくりたくてフジテレビに入社したんです。でも『ピカル』が終わったりと、今はゴールデンタイムではストレートなコント番組が受け入れられにくい。どうしたら作り込んだ笑いのバラエティーができるか考えました」(木月氏、以下同)

当時、ドラマでは『半沢直樹』や『ドクターX』がヒット。「勧善懲悪のオチが最後にあり、1時間の間に何度も『水戸黄門』の印籠が出てくるようなものを提案しました」

打ち出したかったのは演技の面白さ。ドスのきいたセリフを吐くコワモテキャラの竹内力など、名物キャラは俳優自身が楽しんで演じていることがうかがえる。「コントといったら芸人さん、みたいな見え方を変えたいというのはありました。“悪役スター誕生”のような状態になったら面白いんじゃないかと」

今でこそたくさんの俳優が登場しているが、「バラエティー」や「再現ドラマ」のイメージから初めの頃はオファーが難しかった。「そこを切り開いてくれたのが、高杉真宙さんや葵わかなさん。改めて思い返すと、初回に木下ほうかさん、菜々緒さん、佐藤仁美さんの3人が出演してくださっていて、核になる方たちにはスタート時からご理解いただいていました」

エピソードはすべて投稿。1週間に500通以上届き、スタッフが50ネタ程度に厳選し、会議で採用するものを決めている。ストックは間もなく10万通に達するほど。「選ぶのがとにかく大変。でも想像もしないようなエピソードが届く。会議では『これはほうかさんがやったら面白そう』とか、『これはスカッとばあちゃん(笹野高史)になるね』とか、キャラクター化を前提に選択します」

MCは内村光良。ドラマを見るスタジオゲストには、共感したときの発言はもちろん、デフォルメされたキャラや、インパクトのある演技にもどんどんツッコミを入れてほしいと伝えている。「ドラマとお茶の間をつなげることは、バラエティーにしかできないこと。内村さんは映画監督もする方ですし、いつも食い入るように見てくれています」

大人の世界をのぞき見できるところから、子どもの人気も高い。今後も新キャラの輩出と、意外性のある配役に期待してほしいとのこと。「いつかこの番組で映画がつくれたらいいなと思っています」

(「日経エンタテインメント!」9月号の記事を再構成 文/内藤悦子)

[日経MJ2018年9月14日付]

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