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東京・石川酒造 土蔵が並ぶ「酒飲みのテーマパーク」 ぶらり日本酒蔵めぐり(4)

2018/9/19

80種以上を売る石川酒造の主力銘柄は「多満自慢」

 東京都福生市。多摩川にほど近い住宅街に白壁の土蔵が立ち並ぶ一角がある。石川酒造の社長、石川彌八郎さんが「酒飲みのテーマパーク」と称する、創業155年の酒蔵だ。樹齢が700年を超える大きなケヤキが酒造りやビール造りに精を出す人々、レストランを訪れる客らを見守り続けている。

「多満自慢」の看板をくぐると、「酒飲みのテーマパーク」が目の前に広がる。正面には酒造りの拠点である本蔵がそびえ、そばには売店「酒世羅」の玄関がある。かつて玉川上水から水を引いた熊川分水のせせらぎを挟んで、樹齢400年の「夫婦欅(けやき)」の根元にコメの神、大黒天と、水の神、弁財天をまつった祠(ほこら)が建つ。

「多満自慢」の木製看板が客を迎え入れる

 テーマパークを構成するそれぞれが酒造りの心と歴史を表現している。石川酒造の歴史を示す資料が展示されている「雑蔵史料館」、イタリアン・レストラン「福生のビール小屋」、1960年代まで仕込み水に使われていたという手掘りの井戸と、アトラクションは続く。年間延べ10万人が食事や買い物をし、1万人が見学に訪れる。

「見学者の2割くらいが訪日外国人ですね」と石川さんは話す。特に何度も訪日している人が、より日本らしさを感じさせるスポットを求めてやってくるらしい。確かに、敷地内は周囲の景色からは隔絶され、時代を遡った雰囲気を味わえる不思議な空間になっている。本蔵など、土蔵のいくつかは国登録有形文化財として、酒造りや接客に日々活躍している。

1880年に建築された本蔵は今も醸造の拠点だ

 7月下旬、全国燗(かん)酒コンテスト2018の審査結果が発表された。251社が838点を出品、4部門で評価を競った。石川酒造は「お値打ち燗酒 ぬる燗部門」で「多満自慢 純米無濾過」が、「プレミアム燗酒部門」で「純米大吟醸 たまの慶」が、それぞれ金賞を受賞した。ちなみに「お値打ち」は720ミリリットル瓶で1100円以下、「ぬる燗」はセ氏45度が基準だ。

「純米無濾過」は原料米に新潟県産コシヒカリを使っている。「コメのうま味と甘みを際立たせる」(石川酒造営業部)ことを狙って仕込んだ。精米歩合は70%(コメの表面から30%を削る)で、酒は山吹色を帯びる。「新酒では酸と甘みを感じさせ荒々しさをみせる」一方で、熟成させて楽しめる性格の酒だという。酵母は香りがよく発酵力が強いとされる「きょうかい701」を使っている。奇をてらっているわけではない。

本蔵などと並んで国登録有形文化財の長屋門

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