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広告もステマもなし 出版不況でも売れる雑誌の作り方

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NIKKEI STYLE

一番汚れが落ちる洗剤、最も効く虫よけ、落ちない口紅。身の回りにある日用品を比較し、その効果や使用感を紹介する女性誌「LDK」(晋遊舎)が部数を伸ばしている。2013年の創刊時に7万部だった発行部数は、いまや月20万部を超え、出版不況が続く中で特異な存在だ。

LDKは商品をテストし、その結果を飾らず、そのまま伝える。「性能がいまいち」「不合格」「汚れが落ちない」といったネガティブな表現もいとわない、本音の批評が受けている。

カギは広告を入れないこと。スポンサーなどに配慮することなく、商品の検証結果を公開できる。「テストする女性誌」と称し、写真やイラスト、ポップなフォントが並ぶ華やかな誌面だが、その制作現場は過酷だ。誌面作りの舞台裏を見れば、LDKの人気の理由が分かってくる。

遠慮せずガチで臭いを検証

東京・神保町の晋遊舎のオフィスを訪ねると、はき込んだ靴、汗のしみたTシャツ、生ごみ、生乾きの洗濯物がずらりと並んでいた。消臭剤の効き目を比べる特集記事の実験の準備が進んでいるところだった。約30種の消臭製品を同じ条件の下で使用し、どれくらい臭いが消えるかテストする。判定するのは、臭気判定士の石川英一さん。一つ一つの臭いをかいで、無臭の0から、二度とかぎたくないレベル5までの6段階に数値化する。実験は7時間近くかかり、漂う異臭で編集スタッフはマスクをしないと耐えられないほどだった。石川さんも「どこにも遠慮せず、これほどガチで検証するのは珍しい」と苦笑する。

これだけでは終わらない。臭いの「見える化」にも挑んだ。神奈川歯科大学に協力を求め、臭いの元となる原因菌の培養を依頼。足の裏や脇から採取された菌をシャーレに培養し、消臭剤を染み込ませた綿をおいて、殺菌力を測った。

どちらの現場も科学の実験そのもので、華やかな女性誌の誌面作りのイメージからはほど遠い。それだけに、結果には説得力を感じてしまう。誌面では「効果あり」から「効果なし」まで明確に記載。製品の広告や口コミがあふれ、何を信じればいいのかわからない消費者にとって、良くないものも率直に伝える雑誌は新鮮に映るようだ。

LDKの狙いもそこにあると、木村大介編集長は話す。「物選びの参考になる情報を手に入れにくいことへの不満が、この雑誌が生まれるきっかけだった。テレビ番組や雑誌の多くは聞こえのいいことしか伝えない。欧米では消費者リポートのような商品テストの結果を公開する文化があるが、日本ではかつての『暮しの手帖』が商品テストをやめてからは、空白になっていた分野だった」

説得力ある商品の検証には、人手とコストのかかる実験が欠かせない。LDKの誌面の制作には通常の雑誌の2~3倍の手間がかかり、「原価率がものすごく高い」(木村編集長)のだそうだ。加えて広告を入れないため、一般の雑誌社の収入源の半分を占めるとされる広告収入が得られない。雑誌そのものが売れないと経営が成り立たない仕組みで、売れ行きが好調な今も、人気記事を再編集したムック本を出すなどして収益を補っているという。

さらに、特定の商品を名指して「効果なし」などと書いては、メーカーからのクレームが絶えないのではないか。ところが「クレームは意外に少ない」と木村編集長は言う。「こんなことを書いて大丈夫?とよく心配されるが、実験の方法も結果も全てそのまま公開しているので、トラブルになることは思うより少ない」という。メーカーの人から「社内では言いだしにくい商品の問題点も、第三者の指摘を受けると改良しやすくて助かる」と言われることも、少なくないそうだ。

出版社内にラボ設置へ

LDKの人気を支えるのは、信頼できる商品テスト。その精度をさらに高めるため、検証機関から専門家を招き、専用のラボ(研究所)の設置を進めている。「ラボのある出版社なんて、聞いたことがない」と木村編集長は笑いつつ、「ラボで商品が生まれるわけでもないし、コストもかかる。それでも実験の精度を高め、LDKの品質を高めることが会社の価値を高めることにもつながるので、全力で取り組んでいる」と力を込める。

「出版不況の中で紙媒体の雑誌がありかなしか、という問題じゃなくて、何が載っているかが問題だと思う。これまでメーカーの広告、宣伝材料であり続けてきた雑誌は、今のような情報がタダで入ってくる時代には必要ない。我々のような独自の情報は、ウェブか紙か、という考え方にはならない。今は紙媒体で月刊誌だけど、やはり増えているのは電子書籍。LDKの情報をウェブサイト向けに再編集して公開している。世の中の全ての商品を検討する時に、テストした結果がはっきりわかるような仕組みを作っていきたい」

2018年4月からはコスメに特化した「LDK the Beauty」も月刊誌となった。メディアに対する意識が変わり、消費者に宣伝と気付かれないように宣伝するステルスマーケティング(ステマ)も横行する今だからこそ、商品テスト誌の活躍の場が広がりそうだ。

(映像報道部 槍田真希子)

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